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酒の飲み過ぎは、グラスの形で防げるってホント?

   いつも飲み過ぎては酒の失敗を繰り返す......。「今日こそ気をつけよう」と、わかっちゃいるけどやめられないアナタに、とっておきの方法を教えよう。

   実は、どんな形のグラスで飲むかによって飲酒ペースが変わることが実験で明らかになっているのだ。では、どんな形のグラスが安心なのだろうか。

  • 酒席では、隣に誰が座るかが重要みたいです(イラスト・サカタルージ)
    酒席では、隣に誰が座るかが重要みたいです(イラスト・サカタルージ)
  • 酒席では、隣に誰が座るかが重要みたいです(イラスト・サカタルージ)

カーブしたグラスで飲むと1.6倍ピッチが速まる

   私たちは、ビールを大ジョッキで飲めばグイグイすすむが、コップでチマチマと飲んでもそれほど深酔いしないことを経験的に知っている。

   2012年、そのことを実験で確かめたのが、英プリストル大学のアンジェラ・アトウッド教授らのチームだ。実験の対象となったのは、アルコール中毒になったことのない18~40歳の健康な男女159人。中央部がふくらむなどカーブしたグラスと、真っ直ぐなグラスの2種類を用意し、それぞれに半パイント(約280ミリリットル)のビールを注いだ。そして、いつもの自分のペースで飲んでもらい、飲み終わるまでのスピードを測った。

   すると、ほとんどの被験者はカーブしたグラスの方が速く飲み終わった。所要時間は、真っ直ぐなグラスが平均11分だったのに対し、カーブしたグラスが平均7分で、約1.6倍も速かった。ちなみに同じグラスでソフトドリンクを飲んでもらうと、両者に時間の差はほとんどなかった。

   アトウッド教授は「カーブしたグラスでは、ビールの量を正確に認識できないため、ペースをコントロールできずにどんどん飲んでしまうということです」と説明している。

酌をしてもらうなら女性か細い男性に、太目の上司は最悪

   一方、グラスの形や注ぎ方によって、グラス酒の量が変わってくるという実験結果もある。米コーネル大学とアイオワ州立大学の共同チームが2013年に行なった実験は、74人の健康な男女学生に、一定量のワインをグラスに注いでもらった。米国ではワイン1杯分と考えられている量は約150ミリリットル。その量と思われる目分量のワインを、様々な状況下で注ぎ、量に差が出るかどうか調べた。その結果、次のことがわかった。

   (1)グラスの口径が大きい場合は、標準的なグラスに比べ、注ぐワインの量が平均で11.9%増える。また、同じ容量のグラスでも、背の高いグラスに比べ、背が低くて開口部が広いグラスは、同程度増えてしまう。

   (2)グラスをテーブルに置いて注ぐ場合に比べ、自分が手に持っているグラスにワインを注ぐと、平均で12.2%増える。これは、片手でボトルを持つため、不安定になり、景気よく注いでしまうためらしい。

   (3)透明なグラスに白ワインなど、グラスとワインが同じ色だと、注ぐ量が増える。ワインの量が確認しづらくなるためのようだ。

   (4)肥満度を示す体格指数「BMI」の高い人(肥満傾向にある人)ほど、注ぐ量が増える。また、女性は男性に比べ、平均的に注ぐ量が少ない。

   (5)74人の学生の中に何人か、いつも「ワインはグラスの半分まで」と決めている人々がいた。彼らは全員、すべての状況下で注いだワインの量は、基準の150ミリリットルを下回っていた。つまり、普段から節制を心がけている人は、決して飲みすぎないよう、注ぐ量の訓練ができているわけだ。

   以上、2つの研究から得られる飲み過ぎないグラスの選び方や、注ぎ方をまとめると、こうなる。

   (1)グラスは真っ直ぐで、開口部が狭い、なるべく小さい物を使おう。たとえ真っ直ぐでも大ジョッキは禁物だ。

   (2)片手に持った手酌はダメ。自分で注ぐ時はグラスをテーブルに置こう。

   (3)酌をしてもらうなら女性か、やせた男性に頼もう。「まあ、どんどん飲め!」と太目の上司に注がれるのは最悪だ。

   (4)ワインを飲むなら、透明な白ワインより、量がわかる赤ワインに。

   (5)普段から、「コップ1杯まで」と節制を心がけておくと、どんな時でも安心だ。