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【男と女の相談室】地獄の激痛は突然に 恐怖の腎臓結石を記者が体験(前編)

   痛みは真夜中にやってきた。記者(47歳・男性)は就寝中、背中から腰にかけての激痛に目を覚ました。2016年10月17日未明のことだ。一向に収まる気配がなく、とうとう救急車を呼ぶ有様――。

   診断の結果は、腎臓結石だった。実は記者にとって生涯2度目。一説には古代エジプトの時代から存在する病気だというが、原因はいまだに分からない点が多い。しかも体質によっては発症を繰り返すというから、厄介だ。記者の体験リポートを、2回に渡ってお届けする。

  • 記者は迷った末に救急車を呼んだ(写真はイメージ)
    記者は迷った末に救急車を呼んだ(写真はイメージ)
  • 記者は迷った末に救急車を呼んだ(写真はイメージ)

どんな姿勢をしても例外なく痛い

   記者が床に就いて間もない午前1時過ぎ、痛みが襲ってきた。数分後には激痛と化し、情けないと思いつつも声が出てしまうほど強力だ。

   心当たりはあった。会社の健康診断で毎年「腎臓に結石あり」との診断が出ており、診察を受けると、「経過観察ですね」と言われ続けた。さらに20年ほど前に1度、腎臓結石の痛みを経験していた。偶然だがその時も10月で、やはり夜中に発症した。「今回もおそらく」とは思ったが、万一違う病気の可能性もある。救急車を頼もうかと考えるが、「重症でないかもしれないのに、呼んでいいものか」と迷った。

   ぐずぐずしていると、吐き気が出てきた。なんだか腹部まで痛くなってきて、体中がパニック状態に陥っているようだ。病院が開く朝まで待てそうもないと、とうとう119をダイヤルした。

   困るのは、どんな姿勢をしても例外なく痛い点だ。立っていても座っていてもダメ、ベッドであおむけになると背中を圧迫し余計にひどくなる。体を丸めてみたり、ソファーで右半身を上にして横になったりしても、全く変わらない。「アー、ウー」とうなりながら、救急車が到着するまで家の中をのたうちまわるしかなかった。

   救急車が到着し、車内で寝るように指示されるが、痛みがむしろ激しくなる。しかも、すぐには発車しない。最初に、救急救命士による問診がある。発症した時間や症状、過去の病歴を問われる。

記者「20年ほど前に、イタタタ、腎臓結石を、ウーッ、やりまして」

   みっともないが答えの合間に変な声が入ってしまう。その後、搬送先を探してくれるのだが、最初の病院は「専門医がいない」と拒否され、次に電話した病院が受け入れてくれた。幸いに車で5分程度で到着したが、どこも引受先がなく遠方の病院だったらと思うと、ゾッとする。

男性は7人に1人、女性は15人に1人がかかる

   救急外来なので、到着後にすぐ診断してもらえた。痛みを我慢できない「おじさん患者」に、当直の女性医師は「痛いですよね」といたわりながら診察を進めてくれる。ひとまず「特効薬」として、鎮痛剤の坐薬を入れ、10分ほど後にはかなり痛みが引いた。その後X線を使ったCT検査を行うと、結果はやはり腎臓結石だった。大きさは約6.5ミリ。今まで腎臓にとどまっていたのが何らかの原因で尿道に移動し、痛みを引き起こしているという。泌尿器科の専門医を受診するように指示され、その夜はひとまず帰宅した。

   「尿路結石症診療ガイドライン2013年版」(日本泌尿器科学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本尿路結石症学会編)によると、2005年の上部尿路結石(腎臓結石と尿管結石)の年間発症率は、人口10万人で134人と、1965年の調査時から約3倍、1995年の調査時からも約1.6倍増加している。生涯発症率は、男性では15.1%で、約7人に1人、女性は6.8%で15人に1人となった。女性よりも男性の方が経験する可能性が高い。

   ツイッターを見ると、「夫が3度目の腎臓結石」「腎臓結石って痛い、死ぬかと思った」といった書き込みが散見される。著名人でも治療を受けた人は少なくないようで、サッカー・アルゼンチン元代表のディエゴ・マラドーナ氏が2012年、腎臓結石を取り除く手術を受けたと、同年1月17日付のロイター通信が伝えている。

   救急搬送された翌朝、記者は総合病院の泌尿器科を受診した。原因や治療法はどうなのか、次回「後編」でリポートする。