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忘年会シーズンに気になる胃の不調 パソコン仕事にストレスも「犯人」に

【健康カプセル!ゲンキの時間】(TBS系)2016年12月11日放送
「症状別の原因と対策!年末年始の胃のいたわり方」

   胃に(12)良い(11)の語呂合わせから、12月11日は「胃に良い日」とされている。「胃にいたわりの気持ちを持とう」という日だが、この時期は積み重なった仕事で胃がキリキリしたり、宴会続きでいつもより胃に負担がかかったりと、無理をさせてしまいがちだ。

   胃の症状には様々な原因があり、それを突き止めないと間違った対策を取ってしまうおそれがある。番組では、胃に不調を抱える4人の検査結果から、原因別の対処法を紹介した。

  • 酒席が増える時期ではありますが
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脂っこい食事×猫背で「逆流性食道炎」の危険

   後藤裕行さん(54)は、約15年間胸焼けに悩まされている。脂っこいものを食べると、食後1時間は胸のあたりが熱く感じるという。

   内視鏡で見てみると、胃の入り口あたりに、毛細血管が出血した「ヘマチン」という黒い点々がいくつも見つかった。さらに正常な人と比べ、胃の入り口がギザギザしていた。

   これらは胃酸による傷あとで、後藤さんの胸焼けの原因は「逆流性食道炎」だった。

   胃酸は金属をも溶かすほどの強い酸性を持っていて、胃の壁は粘液や胃粘膜で胃酸から守られている。食道にも粘液があるが、胃粘液ほど強くはないので、胃酸が逆流すると荒れてしまう。

   食道と胃は「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」でつながっている。食事中は胃に食べ物を送るために開いているが、普段は閉じて、胃酸の逆流から食道を守っている。

   脂肪分の多い食事は消化しにくく、胃にも負担がかかる。十二指腸から消化を助ける「コレシストキニン」というホルモンが分泌されるが、括約筋をゆるめる作用もあり、胃酸が逆流しやすくなってしまう。

   普段の姿勢でも症状が悪化する場合がある。

   後藤さんの仕事は在宅でのパソコン業務で、猫背になりがち。忙しい時は8時間以上その姿勢で座りっぱなしだという。

   前かがみの姿勢が続くと腹圧が上がって胃を圧迫し、胃酸が逆流しやすくなる。

胃粘膜を保護する食べ物はコレ

   空腹時、胃の下あたりに刺すような痛みを覚えるという福原聡さん(53)は、胃のひだの先にイボのような荒れがいくつもみられた。「びらん性胃炎」といい、胃酸で胃粘膜が傷付けられた状態だ。

   福原さんは4~5時間居酒屋にいて、1時間あたりウーロンハイを4~5杯飲むという酒好き。これが胃に悪影響を及ぼしている。

   酒は胃酸の分泌を促すため、飲みすぎると胃酸が過剰に増える。さらに酒が胃粘膜を直接傷付けるので、空腹時に増えた胃酸が傷口を刺激し、痛みを引き起こす。

   ヤマイモ、サトイモ、レンコン、なめこなどに多く含まれる成分「ムチン」は、胃粘膜を保護してくれる。

   キャベツやブロッコリーに多く含まれる「ビタミンU」は、傷付いた胃粘膜の修復を促進するので、これらの食材を多く摂(と)ろう。なお、ビタミンUは水に溶けやすいので、ゆでるよりも蒸すのがよい。

   2年前に会社を定年退職した浅川尊美さん(66)は、日々の張り合いがなくなると同時に、胃もたれのせいで食事の量が減った。とんかつが好きでお店に食べに行っても、キャベツを食べただけでお腹いっぱいになってしまう。

   内視鏡検査では胃の内部に特に問題はなく、退屈によるストレスが原因と診断された。

   人はストレスを感じると自律神経の交感神経が優位の状態になり、胃の機能が低下する。胃は食べ物が入ると消化のために動いたり胃酸を出したりと様々な活動をするが、胃の機能が低下すると、食べ物を貯蔵できなくなったり、消化に時間がかかったりする。

異常はないのに不調「機能性ディスペプシア」

   3年前に離婚してから徐々に不安にさいなまれるようになり、2年前から胃の膨満感を覚えるようになったという植田理恵さん(56)も、やはりストレスが原因だった。

   最近はみぞおちが痛むようになったといい、これ以上症状が進むと「機能性ディスペプシア」という病気に発展するおそれがある。

   ディスペプシアは「消化不全」という意味で、不調があるのに、詳しく検査しても異常が見つからないのが特徴。ストレスが原因になるケースが多い。

   (1) みぞおちの痛み、灼熱感

   (2) 食後の辛い胃もたれ

   (3) すぐお腹がいっぱいになる

   (4) 胃に病気の原因が見当たらない

のうち、1つでも長引いていれば診断される。日本人の5~6人に1人がかかっているともいわれ、決して他人事ではない病気だ。

   正常な胃は、食後すぐに上部が拡張し、食べ物をしっかり貯蔵。消化のためのぜん動運動も始まる。

   一方機能性ディスペプシアの胃は、食べ物が胃の底に溜まってしまい、消化機能が低下している。

   胃酸が出すぎているわけではないのに胃に激痛を感じやすくなる「内臓性知覚過敏」を併発する場合もあり、異変を感じたら消化器の専門医に相談しよう。

   植田さんは病名がわかったことで不安が1つ解消され、撮影後に症状が緩和しているという。

   胃をいたわるには、食べ物をよく噛むなどして唾液の分泌を促すのも重要だ。唾液は消化を助けるほか、胃酸を中和させ、胃粘膜の傷を修復する働きもある。

   番組では、唾液を多く出す「おサルさん体操」が紹介された。

   サルの顔マネをするように、歯と歯ぐきの間に舌を入れ、4~5回ぐるりと回すだけで、唾液腺が刺激される。あわせて唾液腺がある耳の下のくぼみをゆっくりマッサージするとより効果的だ。