J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

内田篤人の選手生命脅かしたけが 「膝蓋腱炎」運動する人は誰でもリスク

   ドイツでプレーするサッカーの内田篤人選手(29)が膝のけがから復帰し、治療中の苦悩をテレビ番組のインタビューで語った。

   内田選手は「膝蓋腱炎(しつがいけんえん)」のため、実に639日間の離脱に及んだ。これだけ長引いたけがだったが、実は膝蓋腱炎はアスリートに限らず、運動している人なら誰でも起こり得る。

  • 内田篤人選手の膝蓋腱炎は、トップアスリートに限ったけがではない
    内田篤人選手の膝蓋腱炎は、トップアスリートに限ったけがではない
  • 内田篤人選手の膝蓋腱炎は、トップアスリートに限ったけがではない

ランニングや卓球でも......治療はできる?

   膝蓋腱炎は、膝の骨と筋肉をつなぐ腱の炎症だ。内田選手は15年3月10日のリーグ戦を最後に、同年6月には手術、16年12月8日まで約1年9か月に渡って公式戦の出場が途絶えた。2017年1月29日の「SPORTSウォッチャー」(テレビ東京)で、心境を明かした。

「この手術をやった人は大体引退しちゃってるので、自分も復帰できる保証がなかった。手術をした自分の選択が間違っていたかなと思った時が一番きつかった。僕の中では最短の復帰を目指して、急いで治療してきたつもりだったけど、これだけかかってしまった」

   ただ、膝蓋腱炎はトップアスリート特有のけがではない。よしだ柔整治療院のウェブサイトで吉田隼(じゅん)院長は、膝蓋腱炎を「走る時やジャンプする時、もしくはしゃがむ時などに、膝の前面から太ももにかけて痛みや突っ張り感を発生させる疾患」と説明している。複数の患者を診察した中で、

「この疾患になる人のほとんどはスポーツや運動を日常的にされている場合が多い」

とし、院長自身も高校1年生で患い、小学校から続けていたサッカーを辞めざるを得なかったという。一方で、次のように治療は可能だとも書いている。

「スポーツや運動中の動作を正しく改善する事が出来れば簡単に治ります。逆に言えばスポーツや運動時の悪いクセを改善できない限りはなかなか治りません」

   吉田院長によると、動作の問題の多くは「走り方」や「ジャンプの仕方」にあり、ジャンプ動作が多いバレーボールやバスケットボールのほか、ランニングでも起きやすい。他の種目では、バドミントン、卓球、剣道など「1歩で大きく移動するスポーツ」では「その足の踏み込み方」、サッカーでは「ボールの蹴り方や走っていて方向転換をする時のブレーキ動作」が原因で患う場合が多い。ただ、個人差が大きいため、実際に専門医の診断を受けないと具体的な問題点は指摘できないという。

「膝のけがは脚全体に関わってきます」

   あすウェルスポーツ鍼灸整骨院のサイトでは、膝蓋腱炎の具体的な症状として以下の4点を挙げている。

(1)膝蓋骨(いわゆる「膝の皿」)上方、膝蓋腱(膝とふくらはぎの骨の間の部分)に沿っての圧痛(押して痛みが出る)
(2)膝を伸ばす動作で膝蓋骨上方、膝蓋腱に沿っての痛み
(3)膝蓋腱を触った時の握雪感(雪を握ったようなギュッギュッという感覚)
(4)運動前は痛いが、運動を開始し、温まってくると痛みが収まる

   それほど珍しい症状ではなく、基本的に治療は可能のようだ。では内田選手の膝蓋腱炎が長期化した原因は何だったのか。J-CASTヘルスケアはサッカージャーナリストで「足指をまげるだけで腰痛は治る!」(ぴあ)などの著書を持つ石井紘人氏に見解を聞いた。石井氏は「膝のけがは脚全体に関わってきます」と指摘した。

「内田選手が最初にけがをしたのは14年2月でしたが、しばらくはブラジルワールドカップをはじめ大事な試合が続いたため、プレーを続けていました。その中で、無意識に膝をかばっていたため、その膝を支える太ももやふくらはぎ、さらに足首や足指にも負担がかかり、膝以外の状態も悪化して、慢性化してしまったのではないかと思います」

   その上で、一般的に、膝をけがした場合「脚全体の動かし方をしっかりと正さないと、膝のけが自体が治ったとしても、別の部位でけがをするリスクが高くなるでしょう。リハビリで徐々に慣らしていくことが大切です」と指摘している。