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大塚製薬、ADHD治療薬開発中の米バイオベンチャー買収

   大塚製薬は2017年3月3日、米国子会社の大塚アメリカインクを通じて、米バイオベンチャーのニューロバンス(マサチューセッツ州)を完全子会社化することで合意したと発表した。6月までに手続きを完了する予定。

「トリプル再取込阻害」のADHD非刺激薬を開発中

   ニューロバンスは11年にユーセミクスバイオサイエンス(マサチューセッツ州)から独立。成人と小児の注意欠陥・多動性障害(ADHD=Attention Deficit Hyperactivity Disorder)治療薬として開発中の「センタナファジン」を保有している。

   「センタナファジン」は、三大神経伝達物質のノルエピネフリン、セロトニン、ドパミンの再取込を抑制する「トリプル再取込阻害」という作用メカニズムを持ち、米国における臨床試験では、成人ADHD患者を対象に実施した結果ではADHD評価スケールが有意に改善している。

   ADHDは、不注意(散漫性、物忘れ)、多動性・衝動性(そわそわする、落ち着きのなさ)を特徴とする発達障害。現在、米国では精神刺激薬が主に処方されているが、中枢興奮作用などが課題で、乱用などが問題視される場合がある。

   刺激薬と同等の有効性を持ち、非刺激薬と同じ忍容性で、乱用の懸念が少ない薬剤が求められており、「トリプル再取込阻害」というユニークな作用機序を持つ「センタナファジン」の市場投入が期待されている。

   大塚製薬は、この「センタナファジン」の開発進展に伴い、最大1億5000万ドル(約171億円、1ドル=114円)を支払う。発売後は売上高に応じた販売成果金を支払う。