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衝撃!女性の「加齢臭」は30代から 気づかない体臭の解決テクニック(前編)

【美と若さの新常識】(NHKBSプレミアム)2017年5月11日放送
体臭の悩み解決! におい美人のテクニック

   日増しに暑くなってくると、気になってくるのがカラダのにおい。自分のにおいは、自分で気がつくのが難しいうえ、周囲の人が遠慮して注意してくれないのが厄介だ。

   体臭といえば男性だけ、高齢者だけと安心するのは大間違い。最新研究では、女性の加齢臭が30代から始まることがわかっている。においのケアはそうしたらよいのか。「におい美人」への道を2回に分けて紹介する。

  • 自分のにおいは気づきにくい
    自分のにおいは気づきにくい
  • 自分のにおいは気づきにくい

意外に早い! 女性のにおいの曲がり角

   番組はいきなり、「オエ~ッ!」とくる衝撃の場面から始まった。ベッドの上に上半身裸の中年男性が寝そべっている。その周りを白衣姿の男女数人が、ワキの下、お腹、太もも、頭髪、首のうしろ......と、鼻を犬のように男性の肌に近づけ、クンクンとにおいを嗅ぎ、ノートに書き込んでいる。そして、男性のワキの下やお腹に布をこすりつけ、汗やアブラを採取した――。

   ここは男性化粧品マンダムの研究室だ。裸の男性の体中のにおいを嗅いでいたのは、同社で体臭を研究している「臭気判定士」の人々だ。番組スタッフが、その1人で、苦節7年、のべ800人のにおいを嗅いだという久加亜由美さんに「しんどくないですか?」と聞いた。

久加さん「(きっぱりした笑顔で)いえ、やりがいのある仕事です」

   久加さんたちは、30代の男性から多くなる体臭「ミドル脂臭(ししゅう)」を研究している。実験室で、20代男性から採取した皮膚のアブラと40代男性のアブラのサンプルを垂直に立てた板の上に流してみた。20代男性のアブラは水のように下に流れ落ちたが、40代男性のアブラはネバネバとして流れ落ちない。30代になると、皮膚を覆うアブラ(皮脂)や汗が粘り気を持ちはじめ、流れづらくなる。すると皮膚の常在菌に分解され、ジアセチルという物質に変わり、アブラ臭(使い古した油のにおい)を出す。これがツーンと鼻につく、中年男性独特のにおい「ミドル脂臭」の正体だ。かつては「オヤジ臭」と呼ばれていた。

MCのお笑い芸人・後藤輝基「(ゲストの女性たちに)年齢によるにおいの変化は男性だけではありません。女性にもまったく同じことが起こります」

   それを実験で示したのが、九州大学の林健司教授だ。林教授は、におい成分を特殊なフィルムで色の変化に表わす技術を開発した。そのフィルムを縫い込んだTシャツを、20代女性と40代女性の2人に2時間着てもらった。そして、色の変化を比べると――。黄色く変色したにおい部分の場所が、20代女性がワキの下が目立つ程度。ところが、40代女性はワキの下、首周り、胸、肩を中心に、ほぼ上半身まんべんなく黄色く変色している。Tシャツの色の変化で、どれだけ40代女性のにおいがキツくなるか、一目瞭然だ。

体中から噴き出ている「皮膚ガス」が凄すぎる

   そのにおいの成分を分析すると、ペラルゴン酸だった。こちらも古いアブラのにおいがする。ペラルゴン酸とは何か。汗や代謝の専門家、日本福祉大学准教授の西村直記准教授がこう説明した。

「ペラルゴン酸は皮脂が酸化すると発生します。女性の皮膚の酸化のスピードが上がってくるのは30代からなのです。皮脂自体は男性の方が多いので、男性の方がにおいやすいのは事実です。しかし、酸化は女性にも起こります。このペラルゴン酸が増えてくると、加齢臭になります」

   30代の加齢臭の元はペラルゴン酸だが、40代になると、よりにおいがキツいノネナールという成分が中心になり、加齢臭が本格化する。

ゲストのフリーアナ・高橋真麻「ひゃ~! ショックです。私、35歳だからもう始まっているのですね」

   においに強弱があるとはいえ、男性では「ミドル脂臭」、女性では「加齢臭」が30代から始まるのだ。ところで、気になるにおいといえば、口臭が代表的だが、食べたもののにおいが出てくる場所は口以外にもある。意外な場所から出ているのだが、それを、におい分析のエキスパート、東海大学の関根嘉香教授が実験で明らかにしてくれた。

   学生たちと次のような実験を行なった。男女5人の学生たちに腕時計型の「におい検知器」を装着させ、においが気になる食べ物「にんにく」と「アルコール」を食べてもらった。そして、ビニール袋に吐いた息を1時間ごとに測定した。すると、口臭では、アルコールは1時間後に、にんにくも4時間後には「人が気になるレベル」のにおいが消えた。しかし、「におい検知器」を見ると、アルコールは5時間後まで、にんにくは10時間後まで「気になるレベル」が続いた。

   口臭は消えたのに、この悪臭はどこから発生しているのか。それは「皮膚ガス」だ。全身の皮膚からにおいのガスが出続けているからだ。実際に皮膚の表面を特殊な拡大画面で見ると、微小な汗のような液体の粒がビッシリとにじみ出ている。これがにおい成分で、それが蒸発してガスになっているのだ。

MCの後藤「先生、これはオナラみたいなものですか」
関根教授「そのとおりです。人間の体は目に見えない水蒸気のベールにいつも覆われています。それが体臭です。人間は動物と同じ、におう存在なのです」

   体臭に包まれている私たちのカラダ。においのケアは、どうしたらよいのだろか。これまでの常識が間違っていることを後編で紹介する。