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日焼け止めは白くなるくらい塗りたくれ 男も必見、夏の紫外線対策

   【きょうの健康】(Eテレ)2017年7月13日放送 「紫外線から体を守る」

   いよいよ夏本番、外出時の紫外線が気になる時期になった。日焼け止めやサングラス、帽子、日傘など、対策に余念がない女性はよく見かけるが、男性は特に気にしていないという人も多いのではないだろうか。

   紫外線はビタミンDを作り骨を丈夫にするなど、体によい面もあるが、長期間にわたって多く浴びすぎると皮ふがんや目の病気を引き起こすおそれもある。紫外線から体を守るにはどうしたらよいのか、近畿大学の川田暁教授が解説した。

シミやイボが急にカサカサしたら病院へ

   紫外線には「UVA」と「UVB」の2種類ある。UVAは波長が長く、皮ふの表面の表皮を通過し、深いところの真皮まで届く。長時間当たると皮ふに悪影響を及ぼす。

   UVBは波長が短く、表皮のみ、または真皮の一部までしか届かないが、こちらが皮ふへの悪影響が大きく、日焼けや皮ふがんを起こす。

   皮ふがんには3種類ある。

   (1) 有棘(ゆうきょく)細胞がん

   皮ふの有棘層の細胞から発生するがんで、手足、顔にできやすく、イボと間違われやすい。

   (2) 基底細胞がん

   皮ふの基底層の細胞から発生する、日本人が多くかかる皮ふがんだ。首から上にできやすい。

   (3) 悪性黒色腫(メラノーマ)

   メラニン色素を作る細胞ががん化したもので、進行が早く転移しやすい。

   皮ふがんの治療は手術で切除するケースが多いが、転移や進行している場合、抗がん剤や放射線での治療も行う。

   皮ふがんの前段階として「日光角化症(にっこうかっかしょう)」という症状がある。赤みのあるシミで、首から上や手の甲にできやすい。放置すると有棘細胞がんに移行するおそれがある。

   シミやイボが突然赤くなる、急激にカサカサするという症状がみられたら、医療機関を受診するとよい。基本は手術で切除するが、薬で治療する場合もある。

視力障害や失明のおそれも

   紫外線は目の異常も引き起こす。紫外線の多くは角膜で吸収されるが、角膜を通過すると、レンズの役割を担う水晶体で吸収される。

   紫外線が原因となる目の病気は3種類だ。

   (1) 角膜炎

   角膜の表面に紫外線による傷が付く。症状は白目の充血や異物感で、悪化すると痛みをともなう。雪山など、特に紫外線の反射が強い場所で起きる「雪目」が代表的だ。大部分は2~3日で自然治癒する。

   (2) 翼状片(よくじょうへん)

   白目が翼のような形で黒目に侵入する。進行は早くないが、瞳孔まで侵入すると視力障害のおそれがある。手術で黒目に侵入している部分を切除して治療する。

   (3) 白内障

   水晶体の繊維が破壊されてにごり、網膜まで光が届かなくなって見え方の質が低下する。進行すると失明する可能性もある。にごった水晶体を人工の眼内レンズと置き換えるなどの手術で治療する。

   その他の紫外線の悪影響は、以下の2つがあげられる。

   (4) 光老化

   しみができる、しわが深くなる、皮ふが厚く硬くなるほか、良性のできものである「脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)」ができやすくなる。

   (5) 免疫の働きが低下

   たとえば「口唇ヘルペス」は、一度かかるとストレスなどで再発しやすい病気だが、紫外線を浴びた翌日に発症することもある。紫外線で免疫が低下し、ヘルペスウイルスが再活性化するためだ。

短時間の外出なら弱めの日焼け止めでOK

   外出時の紫外線対策には、

   (1) 紫外線の強い時間帯を避ける

   (2) 日陰を利用する

   (3) 帽子や日傘、サングラスを使う

   (4) 肌を出さない(長袖、長ズボンが理想だが、暑い時期は熱中症が心配なので、無理のない範囲で)

   (5) 日焼け止めを使う

   の5つが考えられる。

   日焼け止めに表記されている「SPF」は、UVBによる日焼けの予防効果を数字で示したもので、数字が大きいほど効果が高い。「PA」はUVAの予防効果をプラスの記号で示したもので、プラスが多いほど効果が高い。日本の日焼け止めでは、最高値はSPFが50+、PAが++++だ。

   いつでも最高値の日焼け止めを使っておけばいいのでは...と思う人もいるかもしれないが、値が高いものは肌に負担がかかるおそれもあり、シーンによって使い分けるのがよい。

   散歩や買い物など、10~15分程度の外出では、SPFが10~20、PAが+のものを使う。

   屋外での軽いスポーツやレジャーなど、30分~1時間の外出では、SPEが20~30、PAが++~+++のものを。

   炎天下でのレジャーやリゾート地でのマリンスポーツでは、SPFが40~50+、PAが++++のものを使うのがベストだ。

   日焼け止めは、少量を肌にのばして塗り込んでもあまり効果がない。顔に塗る場合は、クリームタイプならパール粒2個分、液状のローションタイプなら1円玉2枚分が量の目安だ。

   塗り込まず、皮ふにのせて伸ばすようにし、表面が少し白くなるくらいが適量だ。30分~1時間で皮ふになじんで透明になるので、それから外出するとよい。