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オトコの「貧血」の陰に胃がん、大腸がん オンナの「隠れ貧血」の陰に子宮筋腫

【健康カプセル ゲンキの時間】(TBS)2017年7月30日放送
貧血にひそむ大病と闘う

   夏はだるさを感じやすい季節だ。そして、他の季節よりも立ちくらみなどの症状が出やすい人が多い。

   そんな人は「貧血」を疑ってみてはいかが。貧血といえば女性の悩みという印象が強いが、男性も10人に1人が貧血になるという。そして貧血には恐ろしい病気が隠れているのだ。

  • 貧血は男性にも多い
    貧血は男性にも多い
  • 貧血は男性にも多い

口内炎になりやすい人は貧血を疑え

   番組リポーターのお笑い芸人・レッド吉田さんによると、「日本は貧血大国」だという。

レッド吉田さん「ある統計によると、50歳未満女性の22.3%が貧血です。また、成人男性も10人に1人が貧血といわれています。貧血の人は口内炎になりやすいとされています。貧血によって口内の粘膜の細胞が十分に作られなくなるからです。口内炎になりやすい人は貧血を疑うといいでしょう」

   貧血の主な症状は動悸、息切れ、めまいなどだ。貧血の多くは体から血液が失われることで起こる。特に女性は月経があるため、男性より起こりやすい。しかし、男性の場合は体の中に出血を伴う病気があると貧血が起こりやすくなる。NTT東日本関東病院の臼杵憲祐医師は「たかが貧血と侮ってはいけません」とこう警告する。

臼杵医師「同じ貧血でも放っておいていいものと、大ごとになってしまうものがあります。例えば、便とともに血が出ていく病気です。胃がんや大腸がんなどです。ほとんどの場合、便を目で見てわかるものではありません。貧血の症状から胃がんや大腸がんが見つかるケースも少なくありません」

   貧血にはいくつかのタイプがあるが、一番多いのが鉄欠乏性貧血だ。鉄欠乏性貧血になると、鉄分不足のせいでヘモグロビンが減り、体中に供給する酸素の量が減ってしまう。少ない酸素を体中に循環させるために、心臓がフル回転をして負担が大きくなる。ほっておくと心不全を起こすことさえある怖い貧血のタイプなのだ。

   貧血かどうかは、血液のヘモグロビン量で診断される。男性は1デシリットル中13グラム以上、女性は12グラム以上が基準だ。しかし、へモグロビンが基準以上でも貧血の人がいる。「隠れ貧血」と呼ばれる人だ。番組では4人の男女の血液を調べた。そのうちの1人細谷さん(50代女性)は12グラムで、基準値ぴったりだが、「隠れ貧血」と診断された。「フェリチン」(貯蔵鉄)の値が少なかったのだ。

鉄分摂取にはホウレンソウより小松菜

   フェリチンとは何か。鉄分は主に肝臓にあり、フェリチンという部分に蓄えられている。鉄分が不足すると、フェリチンから鉄を供給する。この状態では血液中の鉄分値に異常はみられないが、実際には鉄分が不足しがちな状態だ。財布の中に十分なおカネがありそうに見えるが、実際は銀行預金をどんどん取り崩している状態と思えばいい。そんな症状が「隠れ貧血」なのだ。放っておくとフェリチンがなくなり、深刻な貧血になる。正常なフェリチン値は25~250なのに、細谷さんの値は11だった。

臼杵医師「隠れ貧血は女性に多いのです。原因は女性によくある子宮筋腫によって、月経量が増えたり、月経時以外にも出血していたりするせいだと考えられます」

   細谷さんの子宮を調べると、小さな子宮筋腫が3つ見つかった。また、細谷さんはスイーツが大好きで、そのせいで鉄分摂取不足に陥っている可能性がある。偏食やダイエットによって、鉄分の摂取不足が起こると、貧血を引き起こすことが多いという。

   1日の鉄分摂取推奨量は、男性(30~69歳)が7.5ミリグラム以上、女性(30~69歳)が6.5ミリグラム以上だ。鉄分摂取の優等生食品といえばホウレンソウが思い浮かぶが、ホウレンソウには鉄分の吸収をさまたげるシュウ酸が含まれている。そこでオススメなのが小松菜だ。また、レバー、カツオ、ひじきにも鉄分が多い。ビタミンCは鉄分の吸収を高めるので、レモンやグレープジュースと一緒にとるといい。一方、お茶やコーヒー、ワインに含まれているタンニンは、鉄と結び付くことで鉄分の吸収を悪くするので、注意が必要だという。

   ところで、自分で貧血かどうかチェックするにはどうしたらよいか。順天堂大学の奈良信雄特任教授が次のチェックポイントをあげた。この中で1つでも該当すると、貧血の可能性があるという。

(1)疲れやすい。
(2)眠っても疲れがとれない。
(3)階段や坂道などで息切れがする。
(4)動悸がする。
(5)顔色が悪い。
(6)足がむくみやすい。
(7)爪が反りかえる(俗にいうスプーン爪)。
(8)普通は食べない物を食べたくなる(氷をかじったり、土や砂を食べたりしたくなる)。

子どもが土や砂を食べたくなったら要注意

   この最後の項目は「異食症」というそうだ。成長期には鉄が必要なために、子どもは鉄不足に陥りやすくなる。そのため、子どもは氷や砂を食べたり、釘をかじったりすることがある。よく野生動物がミネラルの補給のために泥を食べるようなものらしい。にわかに信じがたいが、番組アシスタントでタレントの滝裕可里さんがサラリとこう語った。

滝さん「私、小学生の時、けっこう普通に砂や土を食べていましたよ」

   スタジオ中から「ええっ~!」というどよめきがあがった。