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ペースメーカーの技術革新は常識を超えた 最新型は心臓に直接入れる

【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2017年8月3日放送
「そもそも心臓ペースメーカーがこれほど進化していたとは!?」

   ペースメーカーは、不整脈の治療のために使われる。心臓の動きが衰えてくる高齢者の利用者が多く、今日では年間4万人が新たに使うようになっている。

   一方で利用者以外にとっては、「電車内でペースメーカーを着けた人がいたら、携帯電話の利用は控えるべきか」「装着したら運動はやめた方がいいのか」といった疑問が今も残っているかもしれない。番組では玉川徹ディレクターが最新事情に迫った。

  • 大切な心臓を守る
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携帯電話使用は15センチ離して

   玉川氏が訪れたのは東京・三鷹にある杏林大学。不整脈を専門に診療している同大学医学部付属病院の循環器内科教授・副島京子氏が、心臓の仕組みを説明した。

   右心房の一番上には、ペースメーカーの役割をする「洞結節」がある。ここでつくられた電気信号が心室に伝わり、心臓が収縮して全身に血液が送られる。だが電気信号がきちんと伝わらないと、不整脈が起こる。うまく電気信号を流すために人工のペースメーカーが必要となるのだ。

   非利用者が持つ素朴な疑問のひとつに、電車内の携帯電話使用が挙げられた。ペースメーカーに影響を与える恐れがあるとの議論が以前からあるが、実は総務省が2015年、「植え込み型」のペースメーカーの装着部位から15センチ程度離すようにとの指針を出している。

副島氏「ペースメーカーが入っている(部位の)逆の手で持っていただければ、距離があり干渉はしないので、大丈夫」

   もうひとつ、運動してもよいのか。副島氏は、心臓のもともとの病気が比較的安定していれば、むしろリハビリを兼ねて積極的に運動した方がよいと話した。患者の中には、トライアスロンに挑戦している人もいるという。

世界最小のカプセル型、将来はiPS細胞活用を視野

   次に、今日使われているペースメーカーが紹介された。重量21グラム、容積11.9立方センチの小型軽量な装置に、「リード」と呼ばれる管を接続して使う。

玉川氏「軽いですね。薄いし、こんなに小さいんだ」

   ペースメーカーは、手術で鎖骨付近に植え込み、静脈にリードを通して心臓に入れて使う。

   これでも十分に小さいが、今日では「リードレス」と呼ばれるさらに小型のペースメーカーが開発されている。文字通りリードは不要で、まるで服用薬のカプセルのような形をしている。重さ1.75グラム、容積1立方センチと世界最小だ。心室内に直接植え込むと、電気刺激を出して直接心室に伝える。電池の寿命は12.5年で、切れたら新しいペースメーカーを別の場所に入れる。現時点では、計算上3個までは安全に入るという。

   臨床試験でリードレスペースメーカーを装着した85歳の女性は、心臓に入れる際はあっという間で、痛みもなかったと話した。体に入っている感覚はない、装着前に出ていためまいや息苦しさは消えたという。

   研究はさらに進んでおり、将来は「バイオペースメーカー」への期待が高まっている。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を培養してつくった心筋細胞にペースメーカー機能や電気的興奮の伝導性を持たせて体内に移植する、というものだ。これなら電池の寿命やリードの断線といった心配はなくなる。