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「片頭痛」もうガマンしないで メカニズム知って予防・改善

【きょうの健康】(Eテレ)2017年8月14日放送
「片頭痛」

   日本人の約840万人が悩まされている「片頭痛」。そのうち74%が生活に支障をきたすほど重症だが、73%は病院を受診していないという。

   「辛いけど、頭痛持ちだから...」とあきらめるなかれ。片頭痛は、適切な対処や治療で改善できる。

「月経痛」の一つと考えられがち

   生活に支障があるような強い痛みを繰り返し、動くと痛みがさらに強くなるのが片頭痛だ。「片」側と書くが、頭の両側が痛む人も4割ほどいる。

   25歳の女性・Aさんは、頭の片側がズキンズキンと痛くなる片頭痛に10年以上悩まされている。以前は月経の時だけだったが、就職してからはそれ以外でも頭痛が起こり、吐き気も伴うようになった。

   市販の頭痛薬を飲んでいるが、効く時と効かない時があり、頭痛が丸一日続き、痛みで仕事がままならないこともあるが、休むと会社に迷惑がかかると思い我慢している。病院へは行かず、「自分は頭痛持ちだから仕方ない」と、なかばあきらめている。

   Aさんと同じく、片頭痛を理由に病院を受診する人は少ない。月経の時に起こる人が多く、月経痛の一つと考えられがちだったり、母や姉妹など家族にも同じ症状があって「そんなものだ」と受け入れてしまったりするからだ。

   片頭痛は、女性ホルモンや食欲、睡眠、自律神経をつかさどる脳の「視床下部」という部分が様々な要因で刺激を受けて起こる、と考えられている。

   視床下部が刺激を受けると、脳の血管の周りの「三叉(さんさ)神経」から神経伝達物質が放出され、三叉神経の周囲に炎症が起こり、血管も拡張するため頭痛が起こり始める。さらに炎症の影響で三叉神経が過敏になり、通常なら痛みとして感じない血管の拍動も痛みになるため、ズキンズキンという拍動性の痛みが起こる。

   刺激の要因は「月経・排卵」「出産」「更年期」「寝不足・寝すぎ」「空腹」「ストレス・ストレスからの解放」「まぶしい光・強いにおい」「人混み・騒音」「天候の変化」「温度の変化・高い湿度」「アルコール」などがある。

病院を受診する目安は

   片頭痛のチェック項目は以下の通り。

   (1) 頭の片側に起こる

   (2) ズキンズキンと拍動性の痛み

   (3) 我慢できず、仕事や家事に支障が出る

   (4) 体を動かすと痛みが悪化する

のうち2つ以上当てはまった上、

   (1) 頭痛が起こると吐き気がする

   (2) 光、音に敏感になる

のうち1つ以上に当てはまると片頭痛と診断される。

   自分でできる対策は、

   (1) 冷たいタオルなどで痛む箇所を冷やす

   (2) 静かな暗い場所で安静にし、可能なら少しでも睡眠を取る

   (3) 軽度の場合は市販の頭痛薬で症状を抑える

が挙げられる。

   市販薬が効かない、または頻繁に服用している場合、頭痛の日数が多い場合は、頭痛外来や神経内科、開業医の脳神経外科などを受診するとよい。

   50歳以上で初めて片頭痛のような症状が出た場合は、脳の病気などが疑われるので、すぐに病院へ。

   また、突然の激烈な頭痛はくも膜下出血、高熱を伴う頭痛は髄膜炎、どんどん痛みがひどくなったり、手足のまひやけいれんを伴ったりする頭痛は脳腫瘍のおそれがあるので、こちらもただちに病院を受診しよう。

予防につながる「頭痛ダイアリー」

   頭痛予防に有効なのが「頭痛ダイアリー」の記録だ。

   痛みの程度や持続時間、日常生活への影響、薬の使用状況、吐き気などの頭痛に伴う症状のほか、月経やストレスの原因、寝不足や寝すぎ、悪天候など、頭痛の引き金になりそうな出来事もメモしておく。

   1か月ほど付けて見返すと、頭痛が起こる時の傾向がつかめてきて、予防策が取れる。頭痛ダイアリーのテンプレートは「日本頭痛学会」のホームページからダウンロードできる。