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「水」を買って「水」をアフリカの子にプレゼント

   ミネラルウォーターのボルビック国際連合児童基金(ユニセフ)を通じて、アフリカ・マリ共和国の「水」環境の整備を支援している。その結果マリで生まれた「清潔な水」の量が、2008年8月上旬までに5億リットルを突破した。そのほかにも、さまざまな企業がユニセフ経由で発展途上国の支援に取り組む。世界の子どもたちの「命と健康」や「教育」を援助するユニセフの取り組みを、消費者とともに支援する企業が注目されている。

マリに生まれた「きれいな水」5億リットルを突破

ボルビックの「1L for 10L」プログラムのサイト
ボルビックの「1L for 10L」プログラムのサイト

   「572,762,260リットル」――これは2008年1月1日から8月8日までの間に、ボルビックの支援によってアフリカのマリで生まれた「きれいな水」の量だ。

   同社が取り組む「1L for 10L」プログラムは、ボルビック製品の売り上げの一部でユニセフの活動を支援するもの。消費者が1リットルの「水」を買うごとに、アフリカに清潔で安全な「水」が10リットル生まれる仕組みだ。まずドイツ、フランスで展開し、日本でも2007年から始まった。

   07年は、このプログラムによってマリ共和国に7億1224万リットルもの「水」を支援。手押しポンプ式の井戸を8基建設し、故障していた手押しポンプ60基を修復、メンテナンスのための人材育成も行った。当初、井戸は20基の建設を予定。現地の政情不安からなかなかスケジュールどおりに進まないが、ユニセフ・マリ事務所と協力しながら作業を進めている。

   また「1L for 10L」プログラムの一環として、9月30日まで「みんなのみず お絵かきコンクール」を展開している。絵1枚の応募につき、マリの子どもたちに1本の色鉛筆が贈られる。

   日本の子どもたちが描くテーマは「きれいな水が変えるアフリカの生活」、もしくは「水の思い出 水とわたし/水とぼく」。「茶色」や「黄色」の水しか知らない、マリの子どもたちのような存在を、日本の子どもたちに知ってもらい、世界の「水」問題に関心をもってもらいたいという思いもある。

「子どもの絵画コンクール」に絡めてユニセフに寄付

   絵画を通じて世界の子どもたちを支援する取り組みとしては、日本製粉が08年から「子ども絵画コンクール」を実施、9月15日まで作品を募集中だ。テーマは「世界のみんなの笑顔」。夏の思い出を絵にしてもらって、応募1点につき100円を、同社がユニセフに寄付する。

   同社は06年から、創立110周年事業のひとつとして、ホームページを1クリックするごとに1円を寄付する「クリック募金」も実施している。さらに08年2月からはモバイルクリック募金も開始。この3月末には1147万4709円をユニセフに寄付した。

   一方、通信教育などのZ会は05年春、小学1年生から大学受験までの12年間の通信教育コースが完成したことを記念して、試験を受けた子どもたちの答案用紙1枚につき2円(マークシート答案は1円)を、寄付に充てる取り組みを実施した。日本の子どもたちは、世界の子どもたちがすべて恵まれた教育環境にあるわけではないことを、答案用紙を通じて知ることになるという試みだ。

   この年の5月末に締め切り、288万4288円をユニセフに寄付した。

「トイレ」を通じて東ティモールを支援

   また、家庭紙メーカーの王子ネピアは、東南アジアの小国・東ティモールのトイレ環境を改善する「nepia 千のトイレプロジェクト」を展開中だ。10月31日までのキャンペーン期間にティッシュやトイレットロールの売上げの一部をユニセフに寄付。東ティモールの、1000の家庭用トイレと15の学校で男女別のトイレの建設や修復、衛生習慣の普及と定着のための活動を支援する。

   2002年に独立したアジアで一番若い国、東ティモールの小学校では、多くの児童がいるのにトイレが圧倒的に不足している。しかも手洗い場などの給水設備も無い場合が多い。故障しても修理方法がわからないため、そのまま放置されていたり、給水タンクや井戸は独立前後の不安定な情勢の中、破壊されたままだったりする。

   ユニセフの調査によると、農村部人口の77%がトイレを利用できない状態で、61%の学校がトイレと給水設備の改善が必要とされた。不衛生だと、下痢やマラリアに苦しむ子どもも出てくる。5歳未満児の死亡率は出生1,000人あたり130人に及び、アジアの中で子どもの生存が厳しい国のひとつだ。(ユニセフ東ティモール事務所調べ)このような背景のもと、「nepia 千のトイレプロジェクト」に対するユニセフや現地の期待が高まっている。