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夏の食中毒に母乳由来成分「ラクトフェリン」 細菌の増殖を抑える

   気温があがり、夏日の日も出てきた。梅雨を迎えるにあたって、気になるのが食中毒だ。25度を超えると一気に危険性が高まり、本格的に注意が必要になると言われる。

サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157)に注意

久我山幼稚園(東京都杉並区)
久我山幼稚園(東京都杉並区)

   食中毒の原因は主に細菌やウィルス。「夏に多いのは、サルモネラ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌(O157)などです」と、東京医科大学微生物学講座の主任教授、松本哲哉氏は話す。

   対策としては、食品の加熱、調理器具の熱湯やアルコールによる消毒、殺菌能力のある洗剤の利用などが有効という。また、最近では食べ物で体内から防ごうという試みも広がり始めている。

   そうした中で注目されているのが、母乳などに多くふくまれるたんぱく質のラクトフェリンだ。食中毒が起こりやすい時期にラクトフェリンを摂り続けることによって、感染症にかかりにくくし、もし発症しても下痢などの症状を軽くする効果があることが、マウスやヒトに対する実験で示されている。

   感染症予防に力を入れている久我山幼稚園(東京都杉並区)は、食中毒対策として、うがい・手洗いに加えてラクトフェリン摂取を取り入れている。昼食後に週3回の割合でラクトフェリン入りのヨーグルトを園児に食べさせているそうだ。

「(ラクトフェリンを)普段から摂取しておくことで、食中毒の予防効果が期待できます。サルモネラ、カンピロバクター、O157の感染が抑えられたという研究成果が報告されています。まだそのメカニズムがすべて判明したわけではありませんが、免疫力を高める作用と、腸の中で細菌にくっついて腸管の表面に菌が付着するのを防ぐ作用、菌の増殖を抑える作用などが関係していると言われています。ヨーグルト食品でとれば、ヨーグルトそのものの腸内環境を整える働きもいっしょに期待できるのでおすすめです」(松本氏)