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【BOOKウオッチ】
七夕に読みたい 日本人と宇宙の歴史

   織姫と彦星が会える年に一度のチャンスだというのに、七夕は梅雨の最中にやって来る。梅雨明けした旧暦の七夕にゆっくり天体観測をしようと呼びかける「伝統的七夕ライトダウン」というキャンペーンもはじまった。今年は8月2日だ。雲に覆われてすっきりしない7月7日の夜は、星にまつわる本を読みながら過ごしてはいかが。

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

わし座のアルタイル・こと座のベガはどこ?

星座を見つけよう
星座を見つけよう

『星座をみつけよう』

   ページをめくると、プラネタリウムのイラストが左右に一つずつ描かれ、一方は実際の夜空の様子を、もう一方は星と星を線で結んだ星座を表している。星の結び方は、学校で習うものとは少し違うが、おひつじ座は羊らしく、むしろこちらのほうが納得できる。鮮やかな写真で魅せる図鑑もいいが、イラストは主要な星だけを抽出するので「雑音」がない。絵本『おさるのジョージ』シリーズでおなじみの作者が、子ども向けに星座を解説した、福音館書店の『星座を見つけよう』(著・H.A.レイ、1620円)だ。星座の紹介だけでなく、「光年」や「ギリシャ神話」も解説しており、天体観測の入門書としてバランスが良い。初版から45年が経つロングセラー。愛読していた子どもが大人になって、自分の子どもに贈るケースも多いようだ。

文学も科学も空から舞い降りてきた

日本人と宇宙
日本人と宇宙

『日本人と宇宙』

   日本人にとって、夜空の主役は長い間「月」が独占してきた。その証に、有名な和歌は月を詠んだものばかり。「星」はほとんど登場しない。ところが、中国からやって来たロマンチックな七夕物語のおかげで、「天の川」という言葉は例外的に多く登場するそうだ。朝日新聞出版の『日本人と宇宙』(著・二間瀬敏史、821円)は、古代の太陽信仰から小惑星探査機「はやぶさ」に至る科学の歴史、文学や風習まで、日本人を軸に宇宙を語ったユニークな1冊だ。著者は、一般相対論や宇宙論の論理的研究が専門で、「ダークサイド」に挑む最先端の研究などにも触れている。ちなみに、七夕が近づくと、短冊に願いを書いて託すのは日本独特の習慣で、本家・中国の現在はというと、恋人たちが旧暦の7月7日をバレンタインデーのように過ごしている。

夢のような本当の話

宇宙エレベーターの本
宇宙エレベーターの本

『宇宙エレベーターの本: 実現したら未来はこうなる』

   恋人に「次の休みは、宇宙に行かない?」とデートに誘ってみよう。今なら、笑われて終わるが、2050年ごろには真面目な返事がもらえるかもしれない。大林組は2012年に宇宙エレベーター構想を発表している。宇宙と地球を結ぶ10万キロにおよぶ構造物とは、一体どんなものか。東京スカイツリーの何倍もの巨大建築をイメージしがちだが、計画では「カーボンナノチューブ」という素材でできた1本の細くて薄いテープのようなものがエレベーターの本体となる。アスペクトの『宇宙エレベーターの本: 実現したら未来はこうなる』(編・宇宙エレベーター協会、1728円)は、建設後の世界はどうなるのか、プロジェクトの最新レポート、田原総一朗氏や堀江貴文氏など著名人のコメントなどを紹介している。夢のような本当の話。この本を枕元に置いて寝たら、どんな夢が見られるだろう。