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【パリ発】日本の駅弁が登場...ブルゴーニュ産シャロレー牛の"すき焼き"も フランス人の胃袋と心をつかめるか

   日本食がフランスでブームとなって久しいが、焼き鳥、スシ、ラーメンに続き、今度は駅弁が上陸。去る3月1日に、パリから南フランス、イタリア、スイスに向かう長距離列車のターミナル、パリ・リヨン駅のコンコースに、駅弁の売店がオープンした。日本の食文化"駅弁"は、果たしてフランス人の胃袋と心を掴むのだろうか?

  • パリ・リヨン駅に現れた駅弁の売店にならぶ旅行客ら
    パリ・リヨン駅に現れた駅弁の売店にならぶ旅行客ら
  • パリ・リヨン駅に現れた駅弁の売店にならぶ旅行客ら
  • 駅弁売店のショーケース。弁当の内容や味付けはフランス人の食習慣や嗜好を考慮したという
  • オープニング・セレモニー

JR東のグループ会社が4月まで、リヨン駅で5種類販売

   フランス初駅弁の企画運営を担うのは、JR東日本のグループ会社、日本レストランエンタプライズ。3月1日のオープニング・セレモニーには、同社代表取締役社長、浅井克巳氏も来仏し、パリ・リヨン駅の副駅長とともにテープカットを行った。

   販売されるのは、「パリ・リヨン弁当」、「幕内弁当」、「助六寿司」などの5種類で、価格は8~15ユーロ、1000円~1800円相当だ。

   製造はパリで行われ、日本の駅弁メーカー、日本ばし大増のベテラン料理長の下で、地元スタッフが、現地調達できる素材を使って、日本の味を実現する。ごはんはヨーロッパ産の日本ブランド米を使い、「パリ・リヨン弁当」のおかずの一つ、すき焼き風牛肉は、日本でも食通の間で人気が高い、ブルゴーニュ地方のシャロレー牛肉を使うなどのこだわりも。

   弁当の内容や味付けについては、フランス人の食習慣や嗜好を考慮したという。「例えば、日本人はおかずとご飯を一緒に口に入れますが、フランス人は別々に食べるので、おかずの味を薄めにしたり、また、フランス人はデザートまで含めて"食事"と捉えるので、弁当の中に、甘いものも入れました」と浅井氏。なるほど、一口サイズのカステラやどら焼きが弁当箱の中に納まっている。

   1日250~300食が準備され、弁当の他に、ペットボトル入りの茶、小瓶の日本酒、あられ、カステラなども販売。3、4月のみの期間限定オープンだが、手応えがあれば、常設店を開いたり、他の駅で販売することなども検討しているという。

Bentoはすでに浸透 Ekibenがその仲間入りめざす

   初日はオープン後まもなく、売店前に列ができ、人気は上々の様子だ。

   実は、フランス社会に弁当Bentoはすでに浸透していて、フランス生まれの弁当箱ブランドもあるし、自分で作った弁当の写真を披露するフランス人ブロガーもいる。

   バカンス大国のフランスで、長距離列車に乗る前に駅で購入し、車窓からの風景を楽しみながら味わう駅弁のコンセプトは、受け入れやすいだろうし、美食の国ならではの、ご当地グルメ弁当が生まれる可能性もある。また、多様なおかずを少量ずつ彩りよくきれいに並べる、というフランス料理にはあまり見かけない駅弁のプレゼンテーションや、絵柄やデザインが美しい掛け紙は、アート好きなフランス人の心をくすぐるだろう。

    EkibenがBento の仲間入りを果たし、フランス語の辞書に載る日も、そう遠くないかもしれない。

江草由香


【プロフィル】
江草由香(えぐさ ゆか)
フリー・編集ライター。96年からパリ在住。ライターとして日本のメディアに寄稿しながら、日仏バイリンガルサイト『ビズ・ジャポン』http://www.bisoujapon.comの編集長を務める。著書は芝山由美のペンネームで『夢は待ってくれる―女32才厄年 フランスに渡る』。趣味は映画観賞。