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舞台芸術を成功させるカギはここにあり

   東京・丸の内のある帝国劇場は、1911(明治44)年2月10日に日本初の西洋式劇場として開場した。当時は、歌舞伎興行のかたわら付属技芸学校を設け、女優の養成や海外のアーティストを招いての公演や初期の新劇上演を行うなど、現在まで日本の演劇発展に貢献してきた。今回は、人々にわくわくどきどきを与えてくれる舞台芸術、その世界の歴史やビジネスの裏側、そして演劇・戯曲の基礎がわかる3冊。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチhttps://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。

マーケティングで芸術・文化事業を成功させた世界の実例

『芸術の売り方――劇場を満員にするマーケティング』(著・ジョアン・シェフ・バーンスタイン、英治出版)
『芸術の売り方――劇場を満員にするマーケティング』(著・ジョアン・シェフ・バーンスタイン、英治出版)

   「クラシック音楽、演劇、オペラといった芸術ビジネスの市場は縮小する一方だと言う人がいる。余暇の過ごし方の多様化や競争の激化、若者の芸術離れを嘆く人もいる。だが、本当にそうだろうか?今日、多くの芸術団体が苦境にさらされている元凶は、作品の問題ではなく、マーケティングの不足ではないだろうか。世界には、効果的なマーケティング戦略によって観客数の劇的増加を実現した団体がいくつもあるのだ(本書より)」。

   『芸術の売り方――劇場を満員にするマーケティング』(著・ジョアン・シェフ・バーンスタイン、英治出版、2592円)では、基本的・現代的なマーケティング戦略を活用し、芸術ビジネスを成功に導く効果的な方法を提示する。「現状と観客の特性をつかむ」、「作品、会場、コミュニケーション」、「気まぐれな観客を重視する」など全12章。世界各地の事例も満載。

平田オリザの芝居作りの基礎とは

『演劇入門』(著・平田オリザ、講談社)
『演劇入門』(著・平田オリザ、講談社)

   劇作家・演出家で、劇団青年団を主宰する平田オリザ氏が芝居作りの技術を披露している。『演劇入門』(著・平田オリザ、講談社、799円)。

   シェイクスピアはなぜ四世紀にわたって人気なのか? 日本で対話劇が成立しづらいのはなぜか?などを平易に解説している。

   たとえば、「対話劇は可能か―私たちがいま、一般に『演劇』と呼ぶものは、西洋近代の枠組みを出発点としている。そして、この『西洋近代劇』は、対話を基盤としている。一方、日本語は、残念ながら、いまだ対話の構造を有していない。もし、単純に、この事態だけを見るならば、『すなわち日本には、近代演劇は成立しない』という3段論法が成り立つだろう。(中略)。私たちが演劇作品、とりわけ翻訳劇を観るとき、『そりゃ理屈では解るけど、日本人は、そんなに喋らないよ』と感じてしまう、その原因の大半はここにある。対話を、西洋人と同じレベルで描くこと自体に無理があるのだ(本書より)」。

舞台で上演された作品を小説にすると

『コーヒーが冷めないうちに』(著・川口俊和、サンマーク出版)
『コーヒーが冷めないうちに』(著・川口俊和、サンマーク出版)

   舞台で上演された話を小説化した『コーヒーが冷めないうちに』(著・川口俊和、サンマーク出版、1404円)。

   とある街の、とある喫茶店の、とある座席には不思議な都市伝説があった。その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという。ただし、そこには非常にめんどくさいルールがあった。そのルールは5つ。それでもあなたは過去に戻りたいと思いますか?

   過去に戻れる不思議な喫茶店を訪れた女性たちの家族、愛、後悔を描く4つの心温まるストーリー。2017年、本屋大賞にもノミネートされた作品。