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青山学院大学、駅伝躍進の秘密 ビジネスに通じる指導法を探る

   選手とコーチの関係は微妙だ。女子テニスの大坂なおみ選手はコーチとの契約解消後、まさかのストレート負けした。どんな事情があったのか、スポーツに限らず、ビジネスでも部下の指導は難しい。4月に新入社員が入ってくる前に教育や人材育成のあり方について駅伝やサッカ―を取り上げながら紹介したい。

   J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://books.j-cast.com/)」でも特集記事を公開中。

「伝説の営業マン」の手法を応用

   「箱根駅伝もビジネスも一緒です」。青山学院大学を駅伝の強豪校に導いた原晋監督は、そう考える。出場から遠ざかっていた箱根駅伝で初優勝し、その後も4連覇を達成した。『逆転のメソッド』(著者:原晋 祥伝社 842円)は、その躍進の秘密を探る。

   原監督は、高校時代は世羅高校(広島)の主将として全国高校駅伝で準優勝し、中京大を経て中国電力陸上部1期生で入部した。5年で選手生活を終えるとサラリーマンとして活躍、「伝説の営業マン」と呼ばれた。その営業手法を駅伝の指導に応用したのだ。

   青学のスローガン「ワクワク大作戦」とは何か、高い目標設定をどう実現させるか――。「『提案型』営業マンの伝説」「箱根駅伝優勝への道~ゼロからの大作戦」「『逆転』を生み出す理論と情熱」など5章で紹介する。

上司がズボラだとスタッフは優秀!?

   世の中には、「部下の育て方」といった本がたくさん出ている。その中で、いちばん肩の力が抜けるのがこの本というのが出版社のコメントだ。タイトルは『自分の頭で考えて動く部下の育て方』(著者:篠原信 文響社 1490円)。

   最近は指示待ち人間ばかりだと嘆く声が多いが、著者は語る。「不思議なことに、私の研究室には指示待ち人間は1人もいない。たぶん私がテキパキ指示を出せない人間なので、そのうち周囲があきれて、自分の頭で考え出すからだろう」と冗談のように解説する。

   「私のようなズボラな周りに、優秀なスタッフが集まってくるのはなぜ?」。その理由とノウハウがだんだん分かってきたという。著者は苦労して京大を卒業した農業博士。「2012年度農林水産研究成果10大トピックス」を受賞している。

選手が主役の「ボトムアップ理論」

   『チームスポーツに学ぶボトムアップ理論』(著者:畑喜美夫 カンゼン 1512円)は、高校サッカー界で注目されている広島県立安芸南高校の畑喜美夫監督による「ボトムアップ理論」の紹介である。自立型人材を育成し、最強の組織をつくる理論と実践だ。

   「ボトムアップ」指導では、選手が主役である。練習メニューも試合のメンバーも選手交代も選手が決める。監督が指示命令する「トップダウン」とは対照的だ。それで大丈夫かといぶかる声もあるが、広島県立広島観音高校で初の全国優勝を果たした。

   そのサッカ―指導法はビジネスにも通じる。「自己を高める『個』の強化」「組織を動かすマネジメント術」「オプションを生み出す多様性」「次世代へつながる環境づくり」の4章で、サッカ―でもビジネスでも役立つ「34の法則」を解説する。