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北海道の名物飲料「タングロン」もう買えない 店頭にネット、軒並み販売終了

   北海道・芦別(あしべつ)市のメーカーが製造する、コンブエキスを使った清涼飲料水「タングロン」。

   50年の長きにわたり北海道民に親しまれてきたが、2020年3月末での製造終了が発表されている。J-CASTトレンド編集部は20年2月18日に札幌市内の販売店を訪れたが、売り場では既に「販売終了」のお知らせが掲示されていた。何があったのか、販売会社を取材した。

  • タングロン、もう売ってない?(画像はTKSタングロン公式サイトより)
    タングロン、もう売ってない?(画像はTKSタングロン公式サイトより)
  • タングロン、もう売ってない?(画像はTKSタングロン公式サイトより)

札幌市内の店に行くと「販売終了となりました」

   タングロンは北海道産のコンブから抽出したエキスと青森県産リンゴの果汁を使った、紙パックのドリンクだ。名称はコンブの意味の英単語「タングル」が語源で、パッケージにもコンブのイラストが描かれている。1969(昭和44)年に芦別市のメーカー・日本酵素産業が製造を開始し、昭和50年代以降は北海道全域で商品展開。学校給食として、また幼稚園、病院などで飲まれ、スーパーマーケット等でも販売された。

   しかし、日本酵素産業は紙パックの材料不足を理由に、タングロンの製造を3月末で終えることを決定。販売会社のTKSタングロン(本社:札幌市)も、製造中止にともなう終売を公式サイトで発表している。ネット上では「子どもの頃から大好きな飲料なのに」「これから飲めなくなると思うと残念」など悲しみの声が広がっていた。

   TKSタングロンの公式サイトを見ると、タングロンは北海道と東京都内の小売店計10店舗が販売店と記載されている。しかし、J-CASTトレンド編集部が札幌市内の販売店を訪れると、タングロンが売られていたとみられるスペースには「販売終了となりました」とのお知らせが。札幌市内の他の販売店にも電話で問い合わせたが、いずれも「もう販売はしていない」との回答があった。

   TKSタングロンの通販サイトでもタングロンの商品ページには「欠品中」と表示され、購入できない。

   製造終了までまだ1か月以上ある。なぜ店頭やネットで購入できないのだろうか。

担当者しみじみ「こんなに愛されて...」

   J-CASTトレンドの取材に答えたTKSタングロンの担当者によると、地元紙・北海道新聞が20年1月22日の朝刊でタングロンの製造中止を報じたことをきっかけに、全国から注文が殺到。メーカー側から同社には「紙パックが無くなり次第製造を終了する」と伝えられていたが、多くの注文を受け、報道から数日後には電話での予約受付を中止したという。

   2月19日時点では同社による販売店への卸売り、ネット通販での販売をすでに終了。メーカー側も現在は注文済みの購入者向けにタングロンを製造している状況で、早ければ2月中にも生産終了となる可能性があるという。電話での新規注文も基本的には受け付けないが、「どうしても欲しい」という場合には少量での販売を受け付けるケースがあるとした。

「電話注文の際に『昔おばあちゃんの所に行ったら必ずあった』『給食で飲んでいました』などの声をいただいた。(終売をきっかけに)こんなに愛されていたんだな、と実感しました」

担当者は、こう語った。