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露天風呂付客室に1泊2日で3900円 「まじでコロナウイルス勘弁して下さいプラン」体験記

   「まじでコロナウイルス勘弁して下さいプラン」。箱根で8つの温泉旅館を展開する一の湯(神奈川県箱根町)が2020年3月2日に受付開始した早割プランだ。5月と6月の平日限定で、同館が運営する4施設の露天風呂付客室の1泊2食付プランを、1人税込3900円で提供する。

   販売期間は3月2日~9日限定だったが、ユニークな名前と破格の値段が話題となって予約が殺到し、完売。記者は3月10日、一足先に噂のプランを体験した。

  • しゃぶしゃぶがメインの創作和食
    しゃぶしゃぶがメインの創作和食
  • しゃぶしゃぶがメインの創作和食
  • (右から)一の湯代表取締役社長・小川尊也氏と同社広報社員なにし君
  • 「箱根一の湯創業390年祭り」PR担当としてツイッターアカウントで情報発信するなにし君
  • 本館内にあるローベットを2台設えたツインの和室(写真4)
  • 客室についている露天風呂
  • レストラン前にあるラウンジ
  • 廊下が外に面している開放的な本館
  • 大浴場
  • アジの干物や具だくさんのみそ汁が楽しめる朝食

和の客室と料理が出迎える

   2020年で創業390年を迎えた一の湯。日頃の感謝を込め、年間で39(サンキュー)個の企画を実施する「箱根一の湯・創業390年祭り」を開催しており、「まじでコロナウイルス勘弁して下さいプラン」はその第6弾。「仙石原・ススキの原一の湯本館」、「仙石原・品の木一の湯本棟」、「塔ノ沢・一の湯本館」、「塔ノ沢・一の湯新館」で提供する。

   露天風呂付客室1泊2食付で3900円...。信じられない思いで記者が足を運んだのは「仙石原・ススキの原一の湯」だ。本館と、19年8月に開業したばかりの別館、そしてフロントとレストラン、大浴場などの機能が集約された建物から成る。受付や館内清掃業務に当たるスタッフは、新型コロナウイルス感染予防のためにマスクを着用していた。

   通されたのは、本館内にあるローベットを2台設えたツインの和室(写真4)。清掃は行き届いており快適だ。大浴場もあるが新型コロナウイルス感染が不安な昨今、部屋から出ずに入浴できるのはありがたい。夕食は特選豚をカツオベースのだしで湯がき、だし割玉子をまとわせて楽しむしゃぶしゃぶや金目鯛の煮付けなど豪勢な創作和食、朝食はアジの干物や具だくさんのみそ汁、温泉卵などバランスの取れた和食膳だった。いずれも飲み放題付きだ。

台風19号に新型コロナ、支えてくれた人に「感謝」還元したい

「正直、ここまで予約が来ると思わなかった」

   同プランを考案した一の湯代表取締役社長の小川尊也氏と同社広報社員で「箱根一の湯創業390年祭り」PR担当・なにし君は、記者に驚きを語った。5月、6月の平日限定プランのため、予定の見通しが立たない人が多いはずだと考えていたが、販売開始当初から想定以上の申し込みがあったという。さらに3月5日に旅行情報メディア「TRAICY(トライシー)」が同プランを取り上げ、ツイッターで大拡散されたことから予約数が激増した。

   「サンキュー」にかけているのはわかるが、プラン内容に対して3900円は安すぎないか。直球質問に小川社長は「箱根一の湯・創業390年祭り」企画で利益を上げようとは思っておらず、「感謝の思いを返すためにと始めたものなので、ただ利用者に喜んでほしい。その一心」と語った。背景には、19年10月に発生した台風19号による浸水被害があった。

「2020年は社として一大躍進する大事な1年と位置付け、数年前からさまざまな準備をしてきました。19年にはススキの原一の湯別館と箱根路開雲を開業しましたが、台風19号の影響で営業停止せざるを得ない施設も出てしまいました。ススキの原一の湯本館が営業再開し、全店で通常営業状態に戻れたのは12月28日です」

   厳しい運営状態の最中、さまざまな関係者に支えられた。現在も新型コロナウイルス感染拡大の問題に直面し、常に慎重な判断を求められ続けているが、できる限り感謝を形にして還元したいという。

   「まじでコロナウイルス勘弁して下さいプラン」は好評のうちに予約受付を終了したが、一の湯全店で使える宿泊券が39人に当たる第7弾企画が現在、一の湯公式ツイッターアカウントで進行中だ。なにし君は、さらに第8弾企画について「例えば卒業式が出来なかったとか、新型コロナウイルスで不利益を被った人を対象に"救済措置"となるような企画を考えていきたい」と明かした。