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「緊急在庫処分SOS!」立ち上げ1か月のリアル 支援拡大に感謝も先行きの不安消えず

   札幌商工会議所は、「新型コロナ経済対策掲示板『緊急在庫処分SOS!』」で、在庫過多や売り上げの減少に悩む北海道内の食品関連企業の情報を掲載し、販売促進を支援している。

   J-CASTトレンドでは、2020年3月13日に「北海道の食品業『新型コロナ』で在庫過剰 『緊急在庫処分SOS』がピンチを救う」でその取り組みを紹介した。立ち上げから約1か月たった「今」を取材した。

  • 緊急在庫処分SOS掲示板のスクリーンショット
    緊急在庫処分SOS掲示板のスクリーンショット
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掲載情報件数、開設2日後の10件から今は256件に

   札幌商工会議所の担当者から、掲載情報の件数はどんどん増えているとの答えが返ってきた。立ち上げ2日後に取材した当時は10件程度。20年4月17日現在では256件だ。

「大手新聞社で取り組みが記事になり、それがヤフーニュースに掲載される度にSNSでも拡散されて、申込件数も増えていきました」

と担当者。同時に、利用者も最初は北海道民中心だったが、今では全国的に購入層が広がっている感覚がある、と説明した。

   最初は多くのアクセスに耐えられるサーバーではなく、「サイトに繋がらない」といった問い合わせが度々寄せられた。地元のIT企業の協力でサーバーを強化し、現在ではスムーズに接続できるように。ツイッターでも掲示板の情報発信を始め、より多くの人の目に届くよう日々努めている。

過剰在庫解消したが観光地に人が来ないと...

   2020年4月16日に放送された情報番組「ヒルナンデス!」(日本テレビ)で、「緊急在庫処分SOS!」の取り組みと、在庫を抱える企業の商品が複数紹介された。J-CASTトレンドは、放送で取り上げられた2つの商品の販売元に、放送後の反響と現在の状況を取材した。

   番組放送後、「売り上げが一気に爆発し、自社のサイトがパンクしました」と明かしたのは、「メロンゼリー」を販売する「とみたメロンハウス」(北海道中富良野町)の担当者だ。電話も鳴りっぱなしで、放送後から4月17日の間に3500個以上売れ、ほとんど品切れ状態になった。ゼリーだけでなく、サイトで販売されている他の商品も相乗効果で売れているとのこと。

   一方で、「通信販売はやっていますが、観光地ということもありお客さんが減り、対面での販売はできない」のが悩み。見通しの立たない状態がいつまで続くか、「そこが不安でしょうがない」とした。

   炭酸飲料「スパークリングトマト」を販売する北海道アグリマート(北海道浦臼町)。もともとお中元用に同商品を製造していたが、その商談が始まる時期に新型コロナウイルスの感染が拡大し、商談が中止になり在庫過多に。「ヒルナンデス!」では2000本ほど抱えていると放送された。

   同社によると、番組終了後に続々と注文が入り、過剰在庫は解消間近とのこと。「お客様から励ましの声をたくさんいただき、ありがたいです」(担当者)。しかし、「うちは農作物から作ったジュースが主力で、夏が書き入れ時。このままいくと今年は例年に比べてかなり売り上げが落ちる可能性があり、不安です」と続けた。

   また両社の担当者はいずれも、「困っているのは、他の業者も同じだと思います」と思いやった。

   札幌商工会議所は、困っている企業がある限り「緊急在庫処分SOS!」での情報発信を続けていくとしている。