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「円の大きさは台風の規模」ではない 台風のありがちな誤解を気象庁に聞いた

   台風9号が去ったと思ったら、今度は台風10号の動向が心配だ。ところで、「天気予報で、台風情報の図の円は台風の大きさを示している」、「台風の中心に近づくほど危ない」と思っていないだろうか。いずれも、誤りだ。

   誤解されがちな台風に関する情報について、J-CASTトレンドは気象庁天気相談所に取材、正しい内容を聞いた。

  • 台風について正しい知識を持っておきたい(画像はイメージ)
    台風について正しい知識を持っておきたい(画像はイメージ)
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予報円は「70%の確率で台風の中心が入る範囲」

   取材に応じた担当者は、まず台風情報の「円」の部分について「『予報円』と呼ばれるものです」とし、こう解説した。

「よく、この円が大きいほど台風の規模が大きいと勘違いする人がいますが、正確には『70%の確率で台風の中心が入る範囲』を表しています。したがって円が小さいほど、より台風の中心位置を正確に絞り込めていることになります」

   「円の中心にある点もあくまで予報円の中心点であり、これが必ずしも実際の台風の中心というわけではない」と担当者は語った。

   また、予報円の中心点同士を結ぶ線についても「台風の進路」と誤解されることが多いと指摘。実際は「単純に中心点同士を結んだだけ」とのことだった。

「中心より右側がより強風」の理由

   意外に知られていない点としてもう一つ、担当者が挙げたのが、「台風は中心よりも進行方向右側の方がより強風となることが多い」点だ。台風は中心に向かって反時計回りに風が吹いており、右側ではこの「反時計回りに中心に吹き込む風」に「台風自身を進ませている風」が加わるためだという。

   海に近い地域では、高潮の危険も潜んでいる。

「満潮近くになった時間に台風が近づくと、気圧が低くなることから『吸い上げ効果』という現象が起きます。これにより満潮時の海水面の上限が上がり、普段は届かない高所まで水が押し寄せてくる危険性があるのです」

   このほか、「大型の台風は広い範囲で悪天候を引き起こす」ので、「離れた地域でも大雨などをもたらす可能性は十分ある」という点が、見落とされがちなリスクだと述べた。