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「3か月限定アカウント」から11万フォロワー獲得へ「アイラップ」【ツイッターは仕事!企業公式「中の人」集合(12)】

   冷凍保存や熱湯ボイル、電子レンジ使用にも対応する袋のラップ「アイラップ」。生活用品からインテリア、金属製品までを手がける岩谷マテリアル(東京都中央区)の商品だ。

   その公式ツイッターは現担当者が2018年6月1日に開設し、現在11万4000フォロワーを抱える。もともと、一部地域で知名度のあったアイラップの既存ユーザーに、同社が販売するポケット形状のおにぎりシート「おにぎりぽっけ」を認知してもらう目的で、広報経験なし・SNS初心者が自発的に作った「3か月限定」アカウントだった。

  • アイラップ公式ツイッター担当者の代理人「サメ部長」
    アイラップ公式ツイッター担当者の代理人「サメ部長」
  • アイラップ公式ツイッター担当者の代理人「サメ部長」
  • 岩谷マテリアル社・アイラップコーナー

ツイッター社の教えにならって投稿したら「バズった!」

アイラップ【公式】》商品の紹介や、生活にまつわる情報、中の人の個性がわかるツイートなどを投じている。一般ユーザーが「アイラップ」を使って調理した投稿も数多くRTしており、「消費者目線」を積極的に取り入れたタイムラインが特徴だ。現担当者が約2年3か月運用中。

   担当者は開発営業課所属の社員。普段は企画や開発、デザインを手がけながら合間にツイッターを担当している。「アイラップ」は業務の中で取り扱う商品の一つという位置づけだ。

   上司との取り決めで「3か月限定」に定まっていたアカウントの運命を変えたのは2018年7月18日の投稿。当時トレンド入りしていたハッシュタグ「#一般人の方が時々誤解しておられること」をつけ「アイラップ」が全国区の商品であるとアピールし、RTして応援してほしいとつぶやいたところ、情報が瞬く間に拡散された。「まさか『アイラップ』の方で話題になるとは思いませんでした(笑)。『バズる』という現象もよくわかっていない頃です」と担当者は振り返る。

「SNSを業務で運用した経験はゼロ。右も左もわからない状態でツイッター社主催の初心者向けセミナーに参加し、手帳を文字でびっしりにした思い出があります(笑)。そこで教わった『トレンドのハッシュタグをつけてつぶやく』を実践した結果、本当にアイラップが話題になり、メディアにも取り上げられ、商品売り上げも伸び...『3か月』の命を超えて今に至っています」

面識のない居酒屋アカウントから驚きの...

   ツイッター運用上のモチベーションは「自分が仕事で関わった、我が子にも等しい商品たちが世に広まり、多くの人に喜ばれること」。生の声を日々探し、開発やデザイン業務へのヒントとして吸収している。

「ツイッターは『フォロワーが主役』です。そのため通知は切らず、アカウントに届く情報はよいことも悪いことも、全て目を通しています。DMも解放しており、さまざまな相談を受け取っています。会社への問い合わせフォームでも、ご意見の受け皿でもありませんが、困っているフォロワーのため、できる限り力になりたいと思っています」

   ツイッター上での企業同士の出会いから生じる「化学反応」も楽しみの一つだ。最近では、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の公式ロゴマークに「似ている」と話題になったキャラメルコーンのアカウントが「ボク、なんか話題になってる・・・」とツイートしたところに、「トレンド入りしてたね」と初リプライした。するとフォロワーから「ここがはじめましてとは驚き」と反応が寄せられ、「企業間の何気ないやりとりや、出会いを楽しんでもらえる面白さ」を再認識したという。

「他社公式アカウントとの『初絡み』と言えば、特に印象に残っている相手は居酒屋・つぼ八です。18年11月に浅草駅前から(東京)スカイツリーを撮ってツイートしたら、突然『見切れる我が社』と引用RTしてきてびっくり! 写真左にあったつぼ八の本社ビルが、一部見切れていると冗談めかしてクレームを入れてきたんです(笑)」

   この出会いを通じ、つぼ八主催の企業アカウント対抗ミニ四駆大会「つぼ八カップ」への出場をはじめ、多くの他社アカウントとの縁に恵まれた。担当者は「『やらぬ後悔よりやる後悔』の精神。これからもフォロワーと一緒に楽しむ心を忘れず、何にでも前向きに挑戦していきたい」と語った。

企業公式ツイッターアカウント担当者(通称:中の人)をJ-CASTトレンド記者が突撃取材。「業務」として日々ツイッター運用に取り組む担当者たちの魅力を紹介する。