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3度目の緊急事態宣言 「若者は...」の声に大学生がぶつけた本音(後編)

◆「前編」はこちらをクリックしてお読みいただけます。

   J-CASTトレンドは、東京都内にある大学に在籍する2年生のKさん、3年生のSさん、4年生のHさんに取材。前回は、友人との交流もままならない若者の率直な気持ちをたずねた。

   今回は3人に、オンライン授業が浸透した中でのキャンパスライフについて聞いた。コロナ禍の学生ならではの苦労が見えてきた。

  • オンライン授業が当たり前になった中、学生は(写真はイメージです)
    オンライン授業が当たり前になった中、学生は(写真はイメージです)
  • オンライン授業が当たり前になった中、学生は(写真はイメージです)

「7月までは本当に友達はゼロでした」

   3人が通う大学の授業は原則として、2020年度ではビデオ会議ツールなどを活用したオンライン方式で行われた。

   Hさんによると、一部には対面での授業が許されるケースもあった。年間を通して少人数で1つのテーマについて学ぶゼミナールがそれにあたる。それでも、対面授業ができる回数は制限されていた。Hさんの場合、通年全30回のゼミのうち、教授やゼミ生と顔を合わせたのは6回のみだった。

   授業はオンライン、飲み会やサークル活動は自粛を求められていた。Sさんは、他の学生に全く会えず、友人と疎遠になることも多かったと語る。ただ、「今の3年生や4年生は、1年生の頃には通常のキャンパスライフを送れていたので、(コロナ禍前に)人間関係はできていました」。

   一方、2020年4月に入学したKさんは、

「7月までは本当に友達はゼロでした」

と語る。最初から授業はオンラインで、サークルの新入生勧誘活動も経験していない。新たな友人や先輩と知り合えず、教授や職員と直接話せなかった。授業の履修科目の登録方法、レポートの書き方と、学生生活に求められる知識の習得にも苦労したという。

   8月ごろにインターネットで新入生を募集していたサークルに入り、ようやく友人を作るに至った。

   友人ができない上、大学に行くこともほとんどなく、履修登録やレポートの書き方を誰かに相談できる環境もなかった。「今思えば、大学側も新入生にもう少し手厚いサポートができたはずですし、そこが不足していたと思います」とKさんは指摘した。

初めての対面授業に「感動」

   2021年4月に入り、大学では対面授業が再開した。Kさんが初めてキャンパスの中で授業を受けた時には「結構感動しました」という。

「今までZoomで味気のない授業を受けていましたが、4月に他の学生と顔を合わせて『こういう人たちと授業を受けていたんだ』と。やっぱり大学は楽しいんだと気付きました」

   オンライン授業は今でも存在する。科目ごとに授業方式は異なるが、全科目のうちおよそ7割が対面授業、3割がオンラインだ。Kさんは、この状況に新たな不満がある。1日の時間割に対面とオンライン授業の両方を入れると、受講スケジュールに支障が生じるからだ。

   例えば自宅でオンライン授業を受け、次の時限で対面授業を受けようとすると、通学している間に次の講義が始まってしまい、間に合わない。結局は朝から大学に向かい、キャンパス内でオンライン授業を受ける必要がある。だが、その場合もパソコンを利用できるスペースが限られ、大学のパソコンルームに混雑が起きることも。

   こうしたカリキュラム設定にKさんは、「大学のミスだと思っています」と本音を語った。

   春から4年生になったHさんは就職活動を始めている。説明会や面接は基本的にオンラインだが、「あまり困ってはいません」。自宅に居ながら就活ができる上、面接時には会社の情報などを書いたカンニングペーパーを用意し、こっそり見ていると明かした。こうした点が便利だという。

   最後にSさんは「オンラインで便利になった部分もあれば、人とのコミュニケーションなどで不便にもなった。良い点も悪い点もあると思います」と語った。

(J-CASTトレンド 田村 今人)