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ハイブリッドバイクを条件付きで「自転車」扱い 歩道走る人はいないのか

   ハイブリッドバイク「GFR」。ペダル付きの見た目はまるで自転車だが、モーターによる原動機を搭載。アクセルをひねれば電動で走行し、自転車モードに切り替えればペダルをこいで走れる。

   いずれのモードでも、道路交通法上の区分は原付(原動機付自転車)とされてきた。ナンバープレートの登録も必要だ。ところが今後、一定の条件により道交法上でも自転車として扱われるようになる。

  • 「モビチェン」で電動バイクモードから自転車モードに(画像はグラティフィット広報の提供)
    「モビチェン」で電動バイクモードから自転車モードに(画像はグラティフィット広報の提供)
  • 「モビチェン」で電動バイクモードから自転車モードに(画像はグラティフィット広報の提供)

法律上、自転車は基本的に車道を走行

   2021年7月1日、GFRに「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー(モビチェン)」という機構を付けることで、電動バイクと自転車の切替えを認める通達が警察庁より発出されたという。和歌山市にあるメーカーのglafit(グラティフィット)の翌2日の発表では、「モビリティ分野で道路交通法の解釈変更が認められ、実際に運用が始まります」となっている。

   「モビチェン」を利用し、原動機を作動させずペダル走行させる場合、道交法上は自転車扱いとなり、「自転車が通行可能な場所(通行区分)や運転方法に従う」ことになる。

   モビチェンで電動バイクから自転車への切り替えを行うには、まず本体の電源を切り、自転車の絵柄が入ったカバーを引き上げ、ナンバープレートを覆う。これで自転車として走行可能だ。モビチェンの取り付けは、21年秋ごろに発売される「GFR-02」から対応を始める。

   気になるのは、今後GFRの自転車モードで許可なく歩道を走る人や、自転車のふりをして電動バイクモードで歩道を走行する利用者が出てこないかという点だ。

   道交法の規定では、歩道と車道の区別のある道路の場合、自転車は基本的に車道を走行しなければならない。標識などにより、自転車が歩道での走行を認められている場合などは除く。

   警察庁交通局の「令和2年における交通事故の発生状況等について」という資料では、自転車対歩行者の事故で死者・重傷者が発生したケースについてまとめている。交差点内や路側帯といった地点別で見ると、2020年でもっとも衝突場所が多かったのは歩道(「歩行中死者・重傷者」306人中133人)だった。全地点のうち歩道の割合は43%だ。

電動キックボードのマナーも問題に

   最近では「電動キックボード」をめぐるマナーも話題となっている。こちらも道交法上は原付に分類され、歩道は走れない。

   2020年6月4日付の朝日新聞電子版によると、電動キックボードで大阪の歩道を走り、ぶつかった女性に重傷を追わせた男性が5月24日に逮捕された。2021年6月1日付FNNプライムオンラインも、電動キックボードで歩道を走る男性の姿を伝えている。自転車も含めて、不正に歩道を走るケースが起きている。

   グラティフィットは発表資料で、ハイブリッドバイクを全国で運用を開始するにあたり、まずは都府県警や地元メディア向けに「モビチェンの具体的な操作方法や安全対策などの説明」を行っていくとしている。

   自転車の走行が認められていない歩道を走行しないよう、利用者などに指導を行うといった安全対策は講じられるのか。グラティフィット広報にJ-CASTトレンドが取材すると、「普通自転車の交通ルールにのっとった走行についても、広く周知していく予定です」と話した。

   走行中の「GFR」が自転車モードになっているか歩行者が見分けるには、「ナンバーの開閉による視認」が手段となるという。自転車モードではナンバーのカバーを閉じる。またモビチェンの機構によりナンバーを隠している状態では電源が入らず、モーター駆動はできないとのことだ。