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筒香嘉智を獲得したパイレーツの真意 来季もメジャーでプレーする可能性

   筒香嘉智選手が、米大リーグで今季3球団目となるピッツバーグ・パイレーツに入団した。

   2019年オフ入団のタンパベイ・レイズや21年5月に移籍したロサンゼルス・ドジャースでは成績が振るわず、8月15日(日本時間・以下同)にはドジャースを自由契約となった。ところが、17日にメジャー契約でパイレーツが獲得。すぐスタメン起用となった。不振から一転、来季もメジャー生き残りとなるか。

  • パイレーツに移籍し、二塁打を2本放った筒香嘉智選手(写真:AP/アフロ)
    パイレーツに移籍し、二塁打を2本放った筒香嘉智選手(写真:AP/アフロ)
  • パイレーツに移籍し、二塁打を2本放った筒香嘉智選手(写真:AP/アフロ)

金銭的負担が少ない

   筒香選手は、ドジャース傘下の3A級オクラホマシティ・ドジャースで6月18日〜8月14日プレー。43試合で打率2割5分7厘、10本塁打、32打点の成績を残したが、契約を解除されていた。

   パイレーツ移籍後の筒香選手は3試合に出場。これまで計8打数で二塁打を2度放った。

   J-CASTトレンドは、スポーツジャーナリストでメジャー取材歴26年の第一人者・古内義明氏に、筒香選手について話を聞いた。著書には「松井秀喜―献身力」など多数のMLB関連書籍を持つ。

   ナショナル・リーグ中地区で3年連続最下位が濃厚のパイレーツ。優勝を狙えるチームはトレード期限の7月31日までにすでに戦力を整備している。パイレーツも、残り試合をしっかり戦い抜くうえで、筒香選手が「額面通りの活躍ができれば、戦力アップが期待できる」という思惑があったと古内氏は推測する。

   筒香選手の魅力はいくつかある。まず、2年契約の総額年俸の大部分はレイズが支払うため、パイレーツの金銭的負担が少ない。

   また、「チームの攻守の選択肢を増やせる」。パイレーツでレフトを守っているベン・ギャメル外野手は足を痛めて8月7日に故障者リストに入り、16日に復帰したばかり。レフトも一塁も守れる筒香選手がいれば、ギャメル選手を休ませられる。代打としての起用も可能だ。

   そして、3Aで筒香選手がみせた活躍。パイレーツは打点・本塁打数ともにナショナル・リーグ最下位。その長打力は大きな魅力だ。「筒香選手が3Aで7~8月に残した成績を鑑みて、戦力アップにつながるのではないかという判断があったと思います」。米国特有のツーシームや速球といったボールへの適応を見せた点も、獲得の追い風になったという。

   コストパフォーマンスが良く戦力アップの期待も持てる選手を手に入れたパイレーツと、メジャー契約を勝ち取れた筒香選手。古内氏は「今現在はWin-Winの関係」と評した。

残された時間は短い

   ただ、今期は残り約40試合。直近の3試合の筒香選手は長打が2本出ており、「スタートとしてはよかった」ものの、このままメジャーに残るために求められる成績は「非常にハードルが高い」と古内氏は指摘する。

   9月になると、一般的に最下位のパイレーツのようなチームは来年以降を見越して若手選手を積極的に起用し、チャンスを与えるようになる。そのため、「筒香選手に結果が出なければ、見切りをつけるのも早い」とした。

   筒香選手に求められるのは、3Aで残したような数字だ。長打を放ち、打点を稼がなければ、再び自由契約になり得ると古内氏。今後3Aで打ったようなバッティングを見せ、「来年もこの選手はチームに貢献できる」と伝われば、パイレーツ含めたメジャー30球団と来年も契約できる可能性が出てくるとした。