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パラリンピック「安全・安心」言うばかり 学校観戦OKでも修学旅行は中止しろと

   2021年8月24日に開幕する東京パラリンピックを目前に控え、大変な状況になっている。小池百合子都知事や、丸川珠代五輪相の「予定通り開催」の方針に対して、あちこちから疑問や反発、ブーイングが起きている。

  • 大会は原則、無観客で行われる(写真と本文は関係ありません)
    大会は原則、無観客で行われる(写真と本文は関係ありません)
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コロナ対応を優先

   朝日新聞は20日朝、「パラ指定病院、組織委の重症者受け入れ要請断る 『コロナ対応優先』」と報じた。「指定病院」の都立墨東病院(墨田区)が、救急で重症者を受け入れてほしいとの要請を断っていたというのだ。新型コロナウイルス感染症の感染爆発で、医療が逼迫(ひっぱく)していることが理由という。ほかの複数の病院にも同様の動きがある、と書いている。

   同紙によると、墨東病院はパラリンピックで選手を除く大会関係者に傷病者が出た際、通常診療の範囲内で受け入れる協定を大会組織委員会と結んでいる。

   これとは別に、組織委は12日、墨東病院の救命救急センターに対し、競技会場で重度のけが人や病人が出た際、救急搬送を受け入れるように協力を要請した。しかし、感染症指定医療機関であることから、コロナ対応を優先するために断ったという。

   この報道の後、同病院はパラリンピックで重度の傷病者が出た場合、「重症度と緊急度に応じて入院を受け入れる」という院長名のコメントを発表した。同紙によれば、「コロナを最優先としながら対応する」ということだという。コロナの爆発的拡大で、医療現場がコロナとパラリンピックを両立させることに苦慮していることが浮き彫りになった。

教育委員も反対

   パラリンピックでは、小中校生を対象にした「学校連携観戦プログラムが予定されている。参院内閣委員会では19日、野党から中止を求める意見が出たが、丸川五輪相は「安全・安心」な大会にすると繰り返し、予定通り開催する考えを示した。都知事も、同じ方針だが、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は同日、「状況はかなり悪いので、そういう中で、観客を入れることはどういうことか考えていただければ、当然の結論になると思う」と述べ、慎重な姿勢を崩さなかった。

   18日に開かれた東京都教育委員会の臨時会でも、教育委員5人のうち4人が実施に反対したという。

   小池都知事は、都と県をまたぐ修学旅行の中止や延期を求めている。これに対してもインターネットで高校生らから反発の声が上がっている。スポーツ報知は、「国を跨ぐオリンピックはやったのに修学旅行は中止ですか。私たちの一回しかない高校生活返して下さい」「パラ観戦はいいのに...高校生活の思い出が奪われる」などという学生たちの声を紹介している。

子どもの感染急増

   東京では新規感染者が5000人を超える日が続いている。緊急事態宣言を出しているにもかかわらず、減る気配がない。これまでの緊急事態宣言下とは全く異なる状況になっている。

   中でも怖いのが、子どもの感染が増えていることだ。

   毎日新聞によると、都内で新型コロナウイルスに感染した10代以下は、7月上旬はおおむね1日当たり100人以下で推移していたが、新規感染者の急増に伴って増え、19日は856人となった。都によると、感染者全体に占める10代以下の割合は7月以降、十数%で推移し、夏休み期間中も減少する兆しはみられない。

   学習塾で小学生10人以上が感染したり、中学校で感染が広がって生徒の家族が感染したりするなど、子どもが関連するクラスター(感染者集団)の発生事例も確認されていると同紙は指摘している。

   こうした「子ども」「未成年者」を取り巻くコロナ新事態に、都はどのように対処しているのか。周知のように12歳未満の子どもはワクチンを受けられない。感染リスクは大人以上に高いにもかかわらず、学校連携観戦プログラムが安全というのはどのような根拠によるのか。そのあたりが明示されないまま、パラリンピックの開幕が近づいている。

   開会式に合わせて、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が再来日。報道によると、今回は「隔離ナシ」で入国が認められるという。