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新型コロナ「米軍クラスター」が深刻 沖縄で急増、山口や広島にも波及

   国内の新型コロナウイルス感染者が急増している。オミクロン株によるものと見られている。特に深刻なのは米軍基地周辺の自治体だ。J-CASTトレンドでは沖縄県の状況を報告済みだが、新たに山口県や広島県でも「米軍クラスター」の影響広がっている。知事らは政府や米軍に対し、チェック体制の強化などを要請している。

  • 出入国前後にPCR検査を実施していなかった
    出入国前後にPCR検査を実施していなかった
  • 出入国前後にPCR検査を実施していなかった

沖縄では600人前後になるか

   共同通信によると、全国で2021年1月4日に発表された新型コロナウイルスの新たな感染者数が計1268人となった。1000人を超えるのは昨年10月6日以来。年末年始で人の移動が増えたことによる感染「第6波」への懸念が強まっている。

   感染者は沖縄県で225人に急増した。山口県では79人のうち米軍岩国基地がある岩国市で62人に上った。

   沖縄タイムスによると、沖縄県では5日、感染者がさらに増えて600人前後になる見通し。沖縄の人口は東京の約10分の1なので。東京に換算すると約6000人規模だ。

   読売新聞によると、とりわけオミクロン株の感染者が目立っている。昨年11月30日に国内初の感染者が確認されて以降、1か月余りで急増、累計感染者数は1月4日、空港検疫を含めて1192人となった。昨年12月30日の段階で、同株の累計感染者は計500人だったので、1週間足らずで倍増している。30都道府県確認され、このうち18都府県で、市中感染とみられる感染者が出ている。

   東京都では4日、新たに8人が確認された。市中感染とみられ、都内のオミクロン株感染者は累計で55人。大阪府では同株の感染者が58人確認され、累計145人。高齢者施設や府立高校で10~20人規模のクラスター(感染集団)も発生している。

感染ゼロが続いていたが・・・

   オミクロン株の感染者が累計135人に上っている沖縄県では、米軍基地のクラスターからの波及が問題になっているが、ほかにも同様の事例が起きている。特に深刻なのが山口県だ。

   テレビ山口によると、1月4日までの13日間で、同県内では新型コロナウイルスに221人が感染したが、このうち米軍基地がある岩国市が、およそ7割の160人を占めている。同市の感染では、岩国基地の従業員や自衛隊の関係者、米軍の関係者が利用する飲食店の利用客や従業員が4割、陽性の人の家族らが4割。

   中国新聞によると、村岡嗣政知事は「感染が広がった要因は、米軍関係者の影響の可能性が高い」と指摘している。

   この岩国基地に隣接する広島県でも感染が拡大している。中国放送によると、広島県では昨年12月21日まで3週間にわたって県内で感染確認ゼロが続いていた。その後も30日までは1ケタだった。ところが31日に23人と一気に増え、元日が21人、2日が57人、3日が40人、4日は遂に100人を超えた。

   広島県の湯崎英彦知事は3日、臨時の記者会見を開き、県内の感染者の行動履歴を分析した結果として、集団感染が明らかになった米軍岩国基地がある山口県岩国市と「関連のある感染例が多く認められる」と指摘した。

後手に回る対応

   朝日新聞によると、沖縄では、米海兵隊基地キャンプ・ハンセン(金武町など)で始まった米軍関係者の大規模感染が9つの基地に広がり、計832人にのぼっている。

   米軍から報告を受けている県によると、ハンセンでは日本側の検疫を受けずに米国から直接入国した部隊で12月15日に大規模感染が判明。感染者は1月3日までに計512人となった。ハンセン以外の基地でも徐々に感染が確認され、米海兵隊キャンプ瑞慶覧(北中城村など)で計93人、米空軍嘉手納基地(北谷町など)で計82人、米海兵隊牧港補給地区(浦添市)で計35人など。

   沖縄タイムスによると、クラスターが発生した部隊が出入国前後にPCR検査を実施していなかったことを日本政府が発表したのは12月22日。クラスターに関するPCR検査で、検体の47%がオミクロン株と分かったのが29日。入国後24時間以内のPCR検査や抗原検査を在日米軍が始めたのは30日だった。

   沖縄県や県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)は口頭申し入れも含め、少なくとも米軍や日米両政府に6度、感染防止対策の徹底や強化を求めていた。同紙は「政府や米軍の対応は後手との印象は否めない」と書いている。

   また、山口県の岩国基地では年明けの3日間で50人の感染が発表されている。

   中国新聞によると、山口県の村岡嗣政知事は岩国市の福田良彦市長と連名で、米軍岩国基地に感染対策の徹底などを盛り込んだ要請文を出した。林芳正外相と岸信夫防衛相にも同様の文書を出し、米側に求めるよう要請したという。

   朝日新聞によると、青森県三沢市は4日、12月26日から1月3日までに米軍三沢基地(三沢市)の米海軍関係者56人が新たに新型コロナウイルスに感染したと発表。すでに基地関係者の県民1人の感染も確認され、県は、米軍の陽性者から感染した可能性があると説明している。