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「PSVR2」普及のカギは「PS5増産」 プレー姿のカッコよさも欲しい

   ゲーム機「プレイステーション(PS)5」向けのVR(仮想現実)機器「PlayStation VR2」(PSVR2)。PS5に接続することで、実際にゲームの世界に入ったかのようなプレー体験を楽しめる。

   ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が2022年1月5日に正式発表したが、発売日は未定。ツイッター上で登場を心待ちにするゲームファンも存在する一方で、「PSVR2は成功するのか」と不安視する向きもある。それには前世代モデル「PSVR」が関係しているようだ。

  • 「PSVR2」の成功に必要なものは (画像はプレイステーション5)
    「PSVR2」の成功に必要なものは (画像はプレイステーション5)
  • 「PSVR2」の成功に必要なものは (画像はプレイステーション5)

購買意欲につながりづらい

   PSVR は2016年発売。21年10月13日付SIE発表によると、PSVRは、19年12月末時点で世界累計500万台以上を売り上げた。

   ゲーム業界に詳しいエース経済研究所のシニアアナリスト・安田秀樹氏に取材した。同研究所では、ゲーム機の販売を「成功」だと判断するのに必要な数字として、発売初年度で国内160万台超の売り上げが必要だと考えているという。

   PSVRの国内累計販売台数のデータは見当たらないが、ゲーム機が日本国内で1年間に160万台を売り上げる場合、世界累計では1000万台に達するのが通例だという。PSVRは約3年かけて世界累計で「500万台以上」のため、ゲーム機として見た場合、成功に必要なラインを下回っていると安田氏は推測する。

   同機種の問題点として、まずは頭部に装着して遊ぶ小さなデバイスに小型ディスプレーや各種のケーブルを用意しなければならず、技術的に量産が難しいという。十分な供給を行いづらいというのだ。

   もうひとつが、プレーヤーを見ている側からすると、「プレーしている姿に少し違和感を覚える構造」になっていること。ゲーム中、背後から出現した敵に対応するためにユーザーが急に後ろを振り向く様などが他人からは奇妙な光景に見え、「自分も欲しい」という購買意欲につながりづらいと指摘する。

いかに台数をそろえられるか

   2022年1月現在は世界的な半導体不足が発生しており、PSVR2でも生産への影響が生じ得る。加えて、PSVR同様、プレー中の「見栄え」が不安要素と安田氏はみる。発売時期は未発表だが、売り上げが伸びるかは現状「厳しいだろう、と個人的には認識しています」。

   PSVR2の販売成功には、いかに台数をそろえられるか、そしてプレーしている姿が他人から見て「かっこいい」と思えるような専用ゲームソフトなどが登場するかどうかがポイントだと安田氏。加えて、PSVR2を接続して遊ぶためのPS5そのものの増産も必要になるとした。