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ニチバン「セロテープ」エコ続けて74年 植物由来こだわりずっと

   ニチバンが販売する「セロテープ」は1948年の発売以降、植物性の原料を使用している。

   SDGsが叫ばれるようになった昨今では、製品の素材を見直す企業も多い。しかし、SDGsやエコが普及するよりもずっと前に、植物性の原料を使う先見性はどこから来たのか――。

  • 箱には「天然素材」の文字も
    箱には「天然素材」の文字も
  • 箱には「天然素材」の文字も
  • セロテープに使用されている天然素材

「天然素材ならではのいろいろな優れた特性」

   「セロテープ」とはニチバンの登録商標で、一般名称は「セロハンテープ」や「セロハン粘着テープ」だ。J-CASTトレンドは、セロテープの生みの親・ニチバンに取材した。

   ニチバン広報によると、セロテープの原料の大部分は、植物由来だ。まず、セロテープを構成する「セロハンフィルム」は間伐材や端材の木材チップから出来ている。そのため、ニチバンが公開しているサイト「セロテープでSDGsに貢献」では、分解後は自然界に還ると紹介されている。

   また、粘着剤はゴムの木の樹液と松ヤニ等の樹脂を混ぜたものだ。テープの「巻心」には、再生紙を使用した。

   発売当初から自然環境に優しい製品となっている理由は、時代背景が大きく影響している。広報によると、当時は石油由来のプラスチック原料が量産されていなかったために、植物由来の天然素材を選んだそう。

   時代が流れ、安価なプラスチック素材が出回るようになると、セロテープの設計変更も検討されたようだが、

「天然素材ならではのいろいろな優れた特性は何物にも代えがたく、細かな改良を重ねながらも、環境に優しい原材料で作り続けています」

小さなアクションの積み重ね

   セロテープがエコであり続けたのは、ニチバンのたゆまぬ努力があったからこそ。発売当初から続けている生産過程での廃棄の削減工夫に加え、近年はCo2の削減にも着目、グリーン電力を使っての生産も開始したそうだ。

   また広報によると、使用済みの粘着テープの巻心を回収して、マングローブの植樹などの活動に展開する「ニチバン巻心ECOプロジェクト」も実施しているという。

   「SDGs」やエネルギー問題が盛んに取り上げられるなど、エコへの関心が高まりつつある昨今だが、どうやって取り組めばいいかわからないという人も多いだろう。そんな中でセロテープの果たす役割について、広報は

「プラスチック製のテープではなくセロテープを使うという一人一人の小さなアクションの積み重ねが未来に大きな結果をもたらすと考えております」

と話した。