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スマホOS寡占に政府懸念 アップルとグーグルに挑んだメーカーの今

   スマートフォン(スマホ)に使われるOS(基本ソフト)は、米アップルの「iOS」と米グーグルの「Android(アンドロイド)」の2つの寡占状態――。政府は2022年4月26日に開いたデジタル市場競争会議のなかで、こう指摘した。

   「近年、この傾向に変動はみられず、固定的な状況」とも説明している。今や揺るぎない地位にある「ツートップ」。この牙城に挑んだメーカーも、過去にはあったのだが...。

  • iOSとアンドロイドに敗れた、大企業のOSたち(画像はイメージ)
    iOSとアンドロイドに敗れた、大企業のOSたち(画像はイメージ)
  • iOSとアンドロイドに敗れた、大企業のOSたち(画像はイメージ)

マイクロソフトに「BlackBerry」

   4月26日の中間報告の内容では、OSだけでなくアプリストアやブラウザといったデジタル市場そのものがプラットフォーム事業者であるアップルとグーグルの2社の影響が強く、ルール等を規定していることでの競争上の懸念をあげている。

   「iOS」と「アンドロイド」の、スマホOSとしての存在感は圧倒的だ。調査会社MMD研究所(東京都港区)が2021年12月14日付で発表した、「2021年12月スマートフォンOSシェア調査」の結果を見てみよう。スマートフォンを所有する18歳~69歳の男女3万6006人を対象に実施したアンケートで、メインで利用しているスマホの使用率は、iPhone(iOS)が45.7%、アンドロイドが47.0%だった。両方を合わせると92.7%となる。ここでは「分からない」という回答が5.0%あるため、iOSとアンドロイド以外のスマホOSと認識されているのは2%程度にとどまる。

   かつてアップルとグーグルに対抗しようと試みたのが、米マイクロソフトだ。独自で開発した「Windows Mobile」「Windows Phone」の端末を、日本でも発売した。しかし「2強」には迫れないまま、2019年12月10日には「Windows Phone」の後継OS「Windows 10 Mobile」がサポートを終了。以降、スマホ向けの新規OSは出ていない。

   iPhone登場前は、米国を中心に利用者の多かったのが「BlackBerry」だ。同名の端末で使われていたモバイルOS「BlackBerry OS」および「BlackBerry 10」は、2022年1月4日にサポート終了をしている。ウェブメディア「GIGAZINE」の同日付の記事には、「今回サポートが終了したBlackBerry OSも2013年で開発が終了しており、これ以降のBlackBerry端末はAndroid(アンドロイド)を採用していました」とある。そもそも自社OSは10年近く使われていなかったもようだ。

かつて世界一だったスマホOS

   スマホ以前の携帯電話では、世界シェア首位だったのがフィンランドのメーカー・ノキアだ。「ガラケー」と言われる従来型の携帯電話の時代から、「Symbian(シンビアン) OS」を使用していた。2011年5月20日付の日本経済新聞は、前年のスマートフォンOSの市場シェアで、シンビアンが1位だったと伝えている。

   しかし同記事は、2011年2月にノキアがシンビアンを「捨てる」決断をしたと言及。「米マイクロソフト(MS)との提携により、MSのスマートフォンOSを優先して使い、さらに両社がOSを共同開発すると発表」したことを報じた。かつての世界一OSも、2022年の今では見る影もない。

   米モジラの「Firefox OS」も、かつて存在した。2014年にはau(KDDI)から「Firefoxスマホ」が登場したが、16年に開発終了と、CNET Japanが同年2月8日に報じている。