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元保育士の独身マンガ家、里親に かつて育てた園児と「親子」になれるか

【明日のベストセラー(57)】

「気分に合わせて音楽のプレイリストを選ぶように、漫画も気分に合わせて楽しんでほしい」

   漫画のクチコミサービス「マンバ」(東京都港区)が、今この時期に読むのにピッタリな作品を紹介する「明日のベストセラー」。 6月は「父の日に読みたい家族を描いたマンガ」というテーマでピックアップする。

  • 「人の息子」
    「人の息子」
  • 「人の息子」

「里親」テーマにしたドキュメンタリーのよう

   第57回は、元保育士の男性が、元園児の少年を里子として引き取る「人の息子」(著・あのあやの)。主人公の鈴木旭は保育士時代、預かっている男の子がそのまま園に置き去りにされるという事件を目の当たりにする。保育士を辞め、現在はマンガ家として活躍している旭のもとに、ある日、かつて置き去りにされた園児・高嶺からファンレターが届き、2人の縁が再び結ばれる。

   里親制度の仕組みや里親となるために必要な条件が、30代の独身男性である主人公を通して具体的に描かれ、おもわずドキュメンタリー映像を見ているかのようにじっと見守ってしまう。「先生と園児」から、「里親と里子」へ変わった高嶺との関係はもちろんのこと、旭とその親との関係が丁寧に掘り下げられ、家族の多様なあり方が見えてくる。「人の息子」というタイトルが胸に響く結末は、ぜひ多くの人に届いてほしい。全3巻。第1話はこちら