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「ブックマッチ」本当にお別れ クラファン支援額100万超で最後の受注終了

   厚紙のカバーで紙製のマッチをはさんだ「ブックマッチ」と、いよいよ「最後のお別れ」だ。

   日本で唯一、生産を続けていた日東社(兵庫県姫路市)は、2022年7月21日で製造を終了したが、その後の12月7日、「限定復活」として国内最後となるブックマッチ生産受注を開始。クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で支援金を募り、そのリターン(返礼品)としてブックマッチを届ける形式だ。この受け付けも、2023年1月12日に終了した。

  • 本のように開いて使うブックマッチ (写真はイメージ)
    本のように開いて使うブックマッチ (写真はイメージ)
  • 本のように開いて使うブックマッチ (写真はイメージ)

惜しむ声に応えて

   日東社による「CAMPFIRE」サイト内の説明によると、2022年5月に製造終了を告知したところ、SNSユーザーから惜しむ声が続出した。反響への感謝の気持ちを表す手段として、クラウドファンディング形式で「ブックマッチの最終受注」を行うことにした。

   クラウドファンディングの目標金額は30万円。支援がこの額に満たない場合は計画を中止する「All-orNothing」方式だったが、最終的に113万8800円の支援が集まった。支援者数は計147人だ。

   支援額により、返礼品は異なる。2000円ならば「御礼状」や日東社が生産するマッチの箱柄のステッカーがもらえる。3000円なら、御礼状やステッカーに加え、今回のクラウドファンディングで特別に用意した柄の「記念ブックマッチ」3種がもらえる。

半世紀の歴史に幕

   上述の「CAMPFIRE」内ページでは、ブックマッチの歴史が語られている。かつてはさまざまな業種でノベルティーとして用いられてきたという。薄いうえ、企業による広告をカバーに掲載できるためだ。

   しかし安価なライターの登場により、広告用マッチの需要は低下。最盛期では100社以上あったマッチ製造業社は、現在(編注:22年12月7日のクラウドファンディング開始時点)では3社のみになった。とりわけ、ブックマッチを紙軸から一貫して製造しているメーカーは日東社だけが残った。

   また、喫煙者人口の大幅な低下を受け、受注数はさらに減少。「約49年」にわたり作り続けてきたブックマッチの製造終了が決まったという。継続的な需要が見込まれない限り生産を続けるのは難しいため、今回がまさしく「最後の製造」となる。