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東京国立博物館のメタバース展示 3D空間で国宝を「知る」「親しむ」

   東京国立博物館(東京都台東区)創立150年を記念したメタバース展示イベントが開催されている。「エウレカトーハク! 89」だ。同館が所蔵する国宝全89点を、バーチャル空間で展示している。

   2023年1月17日にスタートしており、2月7日から新たなコンテンツ「国宝に親しむ」を展開している。

  • 国宝「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」の世界に迷い込む
    国宝「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」の世界に迷い込む
  • 国宝「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」の世界に迷い込む
  • 東京国立博物館をモデルにした「バーチャルトーハク」
  • 国宝89点を展示 画像は東大寺山古墳から出土した太刀や「埴輪 挂甲の武人(はにわ けいこうのぶじん)
  • 「松林図屏風」の松の木を動かせる
  • 「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)」の情景を描いた空間

屏風(びょうぶ)の世界にようこそ

   「エウレカトーハク! 89」は東京国立博物館、文化庁、国立文化財機構文化財活用センター、凸版印刷などが主催。メタバースプラットフォーム「Cluster」上のワールド「バーチャルトーハク」で展開し、パソコンやスマートフォンから訪問可能だ。バーチャルトーハクの外観や、内装の一部は実際の東京国立博物館をモデルに制作している。

   大きく第1部「国宝を知る」、第2部「国宝に親しむ」、そして第3部「国宝とつながる」の3つの展示室で構成されている。

   「国宝を知る」は1月17日から公開されている。「弥生・古墳/飛鳥・奈良時代」、「平安時代」、「鎌倉時代」、「江戸時代」を主題にした4つの部屋があり、それぞれの時代に生まれた国宝を写真や動画で展示している。

   2月7日に公開した第2部「国宝に親しむ」は、2種類の国宝の世界観を3D空間上で表現したバーチャル展示空間だ。アバターを使い、作品の中に入り込んだかのような体験ができる。

   1つめの空間では安土桃山時代の絵師、長谷川等伯による屏風画「松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)」を表現している。水墨による黒1色の濃淡で、松林の遠近感を表現した作品だ。

   「国宝に親しむ」で再現した「松林図屏風」は、白色をベースとした3D空間に、淡い色合いをした松の木々が出現する。そのうち4本の木は、絵で描かれている本来の位置と比べて、ずれた場所に配置されているという。ユーザーがCluster内で対象の木に触れると、前後左右に動かせる。

   配置を実際に変えてみることで、等伯が描いた木の配置のうまさや遠近感を体験できるのだ。

青空広がる空間には

   もうひとつの空間は、江戸時代の画家・尾形光琳による工芸作品「八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)」がテーマ。これは、平安時代の歌物語「伊勢物語」に登場する「三河国八橋(愛知県知立市)」の情景を描いた硯箱(すずりばこ)だ。

   「国宝に親しむ」内の空間は、三河国八橋の風景を再現しており、水の上に草や橋が浮かんでいる。空や水面に広がる青い色合いが印象的だ。空間の奥側には、巨大な硯箱が設置されている。

   橋の上には、伊勢物語の主人公がよんだ和歌に出てくるひらがな5文字が散らばっている。これらを集めると、箱の中に「ワープ」し、その内部から「八橋蒔絵螺鈿硯箱」を鑑賞できる。

   なお2月7日には第3部「国宝とつながる」の展示室をプレオープンした。現代のアーティストが国宝を「再解釈」した芸術作品を展示する。まずは展示室の空間のみを公開しており、作品の展示は3月を予定している。また現代アーティストによる作品はNFT(唯一無二であり代替できない電子データ)アートとして販売予定とのことだ。