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「ChatGPT」超えた?マイクロソフト新検索サービス  AIで過去にお騒がせも

   米マイクロソフトが、検索エンジン「Bing」やブラウザー「Edge」でAI(人工知能)を活用した新サービスを提供する。AIとチャットできる機能を通して、新たな形の検索ができるようになるという。2023年2月8日(日本時間)に発表した。

   マイクロソフトには過去、「会話機能のあるAI」の開発、公開実績がある。2016年のチャットボット(人間と会話できるプログラム)「Tay(テイ)」だ。ところがTayは公開直後に相次いで暴言を吐いてしまい、問題視された末に機能停止となった。

  • Bingにチャット機能のあるAIが搭載されるが (画像は米マイクロソフトの発表から)
    Bingにチャット機能のあるAIが搭載されるが (画像は米マイクロソフトの発表から)
  • Bingにチャット機能のあるAIが搭載されるが (画像は米マイクロソフトの発表から)

次世代の「大規模言語モデル」搭載

   2023年2月7日(現地時間)のマイクロソフトの発表によると、AIを搭載した新たなBingとEdgeでは、同社が投資し協業関係にある人工知能研究所の「OpenAI」の技術を活用している。OpenAIは、チャット型AI「ChatGPT」を22年11月、インターネット上に公開。ユーザーのさまざまなジャンルの質問に対して的確な回答を文章で生成できると話題になった。

   新たなBingとEdgeには、検索用に特化した次世代の「大規模言語モデル」(言語を学習し生成できるAIのようなもの)を搭載しているという。これにChatGPTや、ChatGPTに用いられている言語モデル「GPT-3.5」の開発を通して得た学びや技術を取り入れており、その性能は「ChatGPTよりも強力」とのことだ。

   ユーザーの検索結果を検証し、知りたい答えをまとめてくれる機能や、「プログラムを書いて」と指示すると、ユーザーの参考となり得るプログラミングコードを表示してくれるサービスが紹介されている。AIとチャットでやりとりをしつつ、調べたい情報を効率的に検索できる機能も搭載される。

   現在は試験的な「プレビュー版」であり、一部のパソコンユーザーに向けて提供している。今後、使用可能なユーザーを数百万人に増やしていくとのことだ。

「AIは間違いを起こす可能性があります」

   新しいBingに関するQ&Aページでは、「AIは間違いを起こす可能性があります」とマイクロソフトは説明している。不完全、不適切な応答があり得るというわけだ。Bingの回答を参考にして意思決定や行動を起こす前に、ユーザー自ら情報の判断や事実確認をするように呼びかけている。

   実際、過去に不適切な応答をしてしまったAIが、冒頭でも触れたTayだ。2016年3月23日にツイッターやメッセージアプリ「kik」、「GroupMe」上で公開され、ユーザーと文章でのやり取りができた。人と話すほどに性能が向上するAIとの触れ込みだった。ところが運用を開始してすぐに、Tayは人種差別的な投稿を行うようになり、24日にマイクロソフトによって機能を停止された。

   米メディア「WIRED」(日本語電子版)2016年3月30日付記事によれば、Tayには、他のユーザーから発信された内容を繰り返す機能があった。悪意を持った英語圏のネットユーザーによってこの機能が悪用され、他者を攻撃する投稿を行うようになったという。