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「哀しみのベラドンナ」50周年記念展 クラシックアートをNFTで語り継ぐ

   虫プロダクションが製作したアニメーション映画「哀しみのベラドンナ」の、50周年記念展・NFT発行イベントが、東京・原宿のSOMSOC Galleryで2023年2月26日まで開催されている。

   会場では、当時の原画および複製原画の展示販売、オリジナルグッズ販売ほか、NFT(非代替性トークン)作品が発表されている。2月14日のメディアプレビューに足を運んだ。

  • 「哀しみのベラドンナ」複製原画は、全て10エディション限定販売
    「哀しみのベラドンナ」複製原画は、全て10エディション限定販売
  • 「哀しみのベラドンナ」複製原画は、全て10エディション限定販売
  • 「哀しみのベラドンナ」50周年記念展
  • スクリーンに流れる動画
  • 当時の原画および複製原画がずらり

彼女はいかにして「魔女」になったか

   2階のアートギャラリーに上がると、正面のスクリーンと、視線が合ったように錯覚した。「哀しみのベラドンナ」の一部を紹介するショートムービーが流れており、妖艶な雰囲気をまとう主人公・ジャンヌの顔や肢体が、しばしば大写しになる。

「SOMSOC Gallery」2階
「SOMSOC Gallery」2階

   同作は1973年公開(配給は日本ヘラルド映画)で、漫画家・イラストレーターの深井国さん、林静一さんといったアーティストが制作に携わった。

   舞台は、中世フランスの農村。SOMSOC Gallery共同運営者・宮崎壮玄さんが発表資料に寄せたコメントによると、「ざっくりまとめると主人公のジャンヌがいかにして魔女になったかが描かれている」。性暴力、男性中心主義や階級間搾取といった、センシティブなテーマをいくつも抱えている。

   物語はファンタジー童話がベースであり、「現実世界」と「精神世界」で表現に差が出るのが特徴だ。前者は、一枚の長い絵画とカメラワークで描写し、後者はアニメーション技法を多用している。発表資料によると、「実験的とも言っていいこの作品はアート映画としても世界に注目された」。

会場に展示されていた、横長の絵画
会場に展示されていた、横長の絵画

合計、1800枚のNFTを発行

   本イベントはSOMSOC Galleryと、NFTのインキュベーションプラットフォーム企業・UneMetaの共催。今回は、「哀しみのベラドンナ」を象徴する36シーンを選りすぐり、劇中や原画素材のスキャンデータから、それぞれ50エディションのNFTを作成した。

   UneMeta創業者であるAnn氏は、発表資料のコメントで「この作品の50年の歩みを辿るうちに、当時の保存環境には限界があり、良好な状態を保ち続けるのは困難で、一部は失われていることがわかった」と明かしたうえで、こう述べている。

「このクラシックな作品を、NFTという最新の技術を利用して、語り継いでいきたいと思います。みなさんにアートの価値と保存の形式やNFTの価値に対して考えていただければ嬉しい」

   4Kでの上映会、当時のスタッフとの座談会なども予定。