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秋葉原「ラジオガァデン」 昭和の商業施設からまた1店消えていく

   東京・秋葉原の万世橋エリア。JR中央線高架下の一角に、「ラジオガァデン」という古びた商業施設がある。閉じたままのシャッターが目立つが、その中でも営業を続けてきた会社の店舗が閉店する。プラスチック製品や電気絶縁材の加工・販売を手掛ける、萩原電材の店だ。

   2023年2月20日現在、店頭には「閉鎖」を告げる貼り紙が掲示されている。3月末で「神田営業所」を閉鎖予定で、在庫処分セール中とのこと。

  • 秋葉原のレトロな施設「ラジオガァデン」
    秋葉原のレトロな施設「ラジオガァデン」
  • 秋葉原のレトロな施設「ラジオガァデン」
  • 萩原電材の「神田営業所」に掲示されている閉店告知

竣工から73年で老朽化

   萩原電材公式サイトによると、同社は1953年にラジオガァデンに材料販売店として創業。66年に東京都文京区へ本社工場を移し、「萩原電材株式会社」を設立した。以降、本社工場と秋葉原店(神田営業所)の2か所で事業を営んできた。

   創業当初は、ラジオなど電気製品を作る客が多かったため、絶縁体として電子工作に用いられる樹脂材「ベーク板」やパイプを販売。66年からは、プラスチック加工を行なうようになった。2023年2月20日現在も、プラスチック材の加工やケーブルやトランス(変圧器)といった電子部品を販売している。

   同社の公式ブログとみられるサイトもある。2月1日付の投稿で「神田営業所、閉鎖のお知らせ」と題して閉店を告知している。

   それによるとラジオガァデンは今年で竣工から73年を迎える建物であり、老朽化が顕著に。2018年には、ほかの入居者が一斉に退去したのだという。

   またラジオガァデンの施設環境は「エアコンも無く、夏暑く、冬も寒い」と厳しく、経営者の判断により、創業した1953年から70周年の節目、つまり今年での閉鎖を決断したとこのとだ。あくまで営業所が閉鎖するもので、「本社業務に関してはこれまで通り変更はございません」とある。

1か所だけシャッターが下りていないのは

   記者は23年2月20日に秋葉原・ラジオガァデンを訪れた。施設の通りに面した部分は、大部分でシャッターが下りている。萩原電材の貼り紙によると神田営業所の営業日は毎週火、木、土曜日であり、記者の訪問時には開店していなかった。

   1か所だけシャッターが上がり、無人ながら3台の自動販売機が設置されているテナントがある。江崎グリコがアイスを販売している「セブンティーンアイス」と、サントリーの飲料自販機、そして近隣に本店を構えるレストラン「肉の万世」の自動販売機だ。とんかつをはさんだ「万かつサンド」や「ハンバーグサンド」を取り扱う。

   アマチュア無線に関する情報を発信しているニュースサイト「hamlife.jp」2018年12月28日付記事によれば、ラジオガァデンではかつて多数の電子部品店が集まっていたという。記事では、同年末でこの施設に入居していた電子部品ショップ「日米無線電機商会」が閉店したのを伝えている。

   先述した萩原電材公式ブログの2022年12月19日付記事では、神田営業所について「今ではラジオガァデン唯一(最後)の一店となってしまいました」とつづっていた。今回の閉店により、ラジオガァデンからは有人で接客をしている店は姿を消し、自販機だけになるのかもしれない。