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昭和の火薬玩具「かんしゃく玉」 令和では絶滅寸前になっていた

   地面に叩きつけると火薬によって破裂し、大きな音を発するレトロな玩具「かんしゃく玉」。子どものころに遊んだり、玩具店や駄菓子店で見かけたりしたことがある人は多いのではないだろうか。

   このかんしゃく玉、現在ではほとんど出回っていないようだ。

  • 「クラッカーボール」という商品名の「かんしゃく玉」 今はほとんど見つからない(画像は「松木商店」公式サイトから)
    「クラッカーボール」という商品名の「かんしゃく玉」 今はほとんど見つからない(画像は「松木商店」公式サイトから)
  • 「クラッカーボール」という商品名の「かんしゃく玉」 今はほとんど見つからない(画像は「松木商店」公式サイトから)

すでに製造終了か

   インターネット上で調べると、黄色や赤、深緑の小さな玉が10粒袋に入ったかんしゃく玉が、個人ブログや花火製品店のサイトで紹介されているのをよく見かける。

   また、このかんしゃく玉入りの袋が何セットか入った赤い箱の画像も数十件見つかる。「クラッカーボール」という商品名で、玉に地面に投げつけて遊ぶ子どものイラストがプリントされているのが印象的だ。ただ、いずれも過去に販売されていた品で、製造会社がどこかは判然としない。

   玩具問屋「堀商店」(愛知県名古屋市)のゼネラルマネージャー・成瀬昭則氏に取材した。過去にはかんしゃく玉の取り扱いがあったものの、10年以上前に製造元が生産を終了したため、同社でもすでに販売を終えている。

   成瀬氏は、かんしゃく玉の流通の詳細について、仕入れ先の花火メーカーに確認した。このメーカーも、かんしゃく玉を製造する別の会社から買い付けを行っていたという。

   成瀬氏が仕入れ先より聞いた説明によると、製造元会社では安全性の問題や製造機器の老朽化を理由に、かんしゃく玉の製造を終了したとのことだ。成瀬氏が把握している限り、他にかんしゃく玉を生産していた会社はないという。ただ、製造元の名称まではわからないとのことだった。

製造工程にリスク

   約700種類の花火を扱う「松木商店」(東京都台東区)の販売担当者に取材した。話によるとかんしゃく玉として流通している製品は一般的に上述の赤い箱のクラッカーボールを指すが、やはり10年以上前に製造元が生産を終了し、入手が難しいと話す。製造会社の名前は記憶していないとのことだ。

   生産が終了した理由として、担当者は製造工程の難しさを挙げた。かんしゃく玉の生産は事故が起きやすく、製造に携わる人がやけどを負うリスクが高いのだという。こうした安全性や利益面の問題から生産されなくなったとの話を耳にしたことがあると語った。

   すでに製造は終了し、製造元も判然としないかんしゃく玉(クラッカーボール)。個人や店舗で残存するかんしゃく玉が出品されている事例はあるのか。記者は試しに2023年3月8日にECサイト「楽天市場」で調べたが、かんしゃく玉を販売するページはヒットしない。パーティーグッズや玩具の花火製品を扱うECサイト「eはなびやさん」にはかんしゃく玉の販売ページはあるが、品切れだ。

   ただネットオークションサイト「ヤフオク!」では3月8日にかんしゃく玉が10袋、計100個のセットで出品されていた。即決価格は4500円だ。商品画像は、上述の赤い箱のクラッカーボールと同一のものに見える。

   またECサイトアマゾンでは、「Obert」というブランドで、狩猟用と称されたかんしゃく玉が販売されている。商品説明には「パチンコ弾薬セット」「ほとんどのパチンコに合うように設計されています」とあり、手投げで地面に叩きつけて使うというよりは、パチンコやスリングにより射出して使う遊び方を想定しているようだ。販売業者の名義は「OBT-JP」で、所在地は中国河南省とある。