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捨てられたイヌやネコの「最期」 どんな顔で死ぬのか?

   オリの中から悲しげにカメラを見つめるイヌの顔、鳴き声から始まった。ペットブームといわれる陰で、日々沢山のイヌたちが捨てられ、処分されている現状を、ある動物管理センターに追った特集は、久々に見応えがあった。

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   環境省の調べだと、04年だけで、全国で約23万匹のネコと約10万匹のイヌが殺処分されている。その現場、イヌやネコが最後の1週間を過ごすセンターの、処分の現場に初めてカメラが入った。「飼い主に訴えたい」というのは、センターの願いでもある。

   部屋のドアには月曜から金曜までの札がかかっている。街で捕獲したり飼い主から預けられた日ごとに分けられ、もとの飼い主か、新たな引き取り手が現れないかぎり、1週間で処分される。最後の場所は「ドリームボックス」と呼ばれるアルミの廊下のどんづまり。ここで、炭酸ガスで窒息死させるのだ。「安楽死ではなく、苦しみがある」とナレーションがいう。

   カメラが近づくと、イヌたちは尻尾を振りながら寄ってくる。人に飼われていた証だ。子イヌもいれば老犬もいる。様子もさまざま。わずかなすき間に顔を突っ込んで、外をみつめたまま動かないイヌもいる。

   取材中にセンターを訪れた家族がいた。ネコを処分して欲しいという。まだ子ネコだった。理由を聞くと、父親は「海外旅行にゆくので、飼えないから」という。子どもは旅行かネコかと迫られ、旅行をとったと。母親は「今度また、ここでもらえばいい」

   センターは預かるときに理由を書いてもらう。多いのは「かみつく」「家族が病気で面倒をみられない」「イヌの病気の世話ができない」‥‥。

   ハスキーの老犬が持ち込まれた。立つこともできないほど弱っていた。長年飼われた飼い主に最後に見捨てられたのだった。

   各地のセンターでイヌたちの写真を撮り続ける写真家がいた。「捨てた飼い主たちに、イヌたちがどんな死に方をするのか伝えたい。どんな顔で死ぬのかを」(大石成通さん)という。「セブンデイズ〜処分された犬たち」という写真集からの画像も紹介された。犬たちの目が悲しい。

   イヌたちは「その日」が来ると、「ドリームボックス」に追い込まれる。予知するのか、悲しげに鳴き、抵抗するイヌたち。ガス注入のボタンが押される。鳴き声がやがて途絶える。様子を見るのはテレビのモニターだけ。それは数分で終わり、その後、焼却炉で焼かれる。

   「初めはボタンが押せなかった」というのは、13年になるという職員。「本当は飼い主に押させたい」と。だから、新しい飼い主が決まったときが一番うれしい。「イヌが好きでないとできない仕事だ」ともいう。夏の盛り、蚊が多いからと蚊取り線香をたいてやったりもする。

   センターは親子体験教室などで、見学を受け入れている。訪れた子ども達に、これらのイヌやネコたちが、1週間後には処分されていることをきちんと伝える。「イヌたちが悪いんじゃないですよね」と。こうした努力の結果か、処分される数は年々減ってはいるというのだが‥‥。

   最後にハスキーが処分される姿が写った。スタジオに戻ると、葉山エレーヌが涙でぐじゃぐじゃだった。「こういうイヌたちが殺されないようにと、飼い主を探したり、署名活動したことがある。生まれてきたものは、生きる権利があるんです」と。

   いつもはうるさい加藤浩次やテリー伊藤たちもシーンとしてしまって、まともにコメントできなかった。