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「石原銀行」問題 国谷つっこみ知事ヒートアップ

   新銀行東京が、3年で破綻寸前に追い込まれ、都議会で大もめの末に400億円の追加出資が決まった。しかし、これで本当に再生できるのか、国谷裕子キャスターが中継で石原慎太郎・東京都知事に聞いた。

知事「あんまりいじめないでね」

   再建計画では、融資を80%、預金を95%減らし、支店も10店から1店舗だけに、職員も4分の1の120人にするという。小さな信用金庫なみである。これで、中小企業支援が続けられるのか、という疑問。なによりも、なぜこうなったかの詳細があきらかにされていないこと。都の監視責任にも踏み込んでいない。

   中継スクリーンの中で「あまりいじめないでね」なんていっていた石原知事だったが、国谷の切り口上にたちまちヒートアップ。

   国谷 なぜ焦げ付きがでたか。都としての検証が不十分。透明性がないのでは?

   石原知事 旧経営陣の責任ははっきりさせないといけない。が、訴訟もあるので、その障害にならないように、公開情報は制限した。中小企業にはピンからキリまであって、零細なものでも日本を支えている。金融庁が切り捨てるような基準を出したとき、小さな信用組合ががんばって貸し出しているのをみて、これは都がやるべきだと思った。マスタープランは都が作ったが、経営は民間の知恵に期待した。

   国谷 損害賠償を求めていくのか?

   知事 株主責任を逃れはしない。しかし経営者の責任がある。取締役会もあった。

   国谷 1000億円が消えてしまったことの検証がない。

   知事 調査はした。それを踏まえて再建をはかろうとしている。

   国谷 400億円の追加融資を決めるのに、なぜ第三者の目を通さないのか?

   知事 これから金融庁も入ってくるでしょう。議会だって第三者だ。

   国谷 新代表は都の職員(津島隆一・前港湾局長)で、マスタープランを作った人だ。

   知事 決して不都合はない。分かってもらいたいのは、苦渋の決断だったということ。閉鎖したらもっと金がかかるし、破綻したら大変だ。

   国谷 中小企業への融資を80%縮小するというが……

   知事 中小企業支援という眼目は変えません。行政の潜在力を生かして幅広い事業をしないと底力がつかない。新たな展開をします。約束します。

   国谷 撤退も視野にあるのか? さらなる損害は出ないか?

   知事 撤退は、もっと多大な迷惑をかけることになる。必ず都民の付託に応えるようにする。

だれのための、何のための銀行か

   ここで時間切れ。内容は空回り、聞いたことに直接答えない、旧経営陣へのぐちっぽい言及……結局、都議会でのやりとりの再現だった。

   スタジオゲストの山口義行・立教大学教授は「中小企業を救うにはリスクがある。それを負うには利益を出す力が必要だ。が、事実上の撤退に近いから、(再建も中小企業支援も)客観的にはきわめて厳しい」と見る。

   現に、江東区の工場の女性経営者は、新たな融資を申し込んだが断られていた。3年前1400万円を借りて、毎月40万円づつ返済して来月で終わる。この優良債務者にも次がなかったのだ。「この銀行の目的は何だったのか。がんばって払ってきたのに」と、この経営者ははきすてた。

   石原知事の構想自体は悪くなかったのかもしれない。が、それに酔っていたのではなかったか。任せた経営者も悪かった。取締役会も無責任だった。とくに監督を怠ったのは致命的だ。当初の1000億円と追加の400億円で、都民1人当たり1万円を超える。

   ある専門家がいう。「都は、民間人だからと任せきり。民間人は、自治体が最後は尻ぬぐいしてくれると。結果無責任体制になった」と。結局、だれのための、何のための銀行だったのか、の問いに戻る。

ヤンヤン

<メモ:新銀行東京問題とは>石原知事の発案で「中小企業への無担保・無保証融資」、「自治体が作った初の銀行」、「経営は民間の知恵で」とうたい文句を並べ2005年にスタートした。が、融資・預金積み上げ優先のずさんな経営の結果、焦げ付きが続出して累積赤字が当初の出資金1000億円を超えるまでになった。