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「特攻への異論言えなかった」 「やましき沈黙」当時だけか

   <テレビウォッチ> NHKスペシャルの「日本海軍 400時間の証言」。数回のシリーズもので、見た回は「特攻」がテーマだった。

   旧日本海軍の作戦立案などにあたった「軍令部」のメンバーが中心の「海軍反省会」という会合の内容を紹介したものだ。1980年から11年間、延べ400時間にわたって仲間内で語り合ったもので、その録音テープを公開するなどした。

   神風特別攻撃隊は、現場将兵の自発的な熱意から始まったと伝えられてきたが、参加者らは、実は軍令部が組織的に計画したものだ、と明かしていた。また、米軍が対応策をとり始めてからは、敵艦への「命中率」が著しく低くなっていたが、反対する声を上げることができなかったとも話していた。

   当時の空気として「やましき沈黙」があったと指摘していた。現状を続けることにやましさを感じながらも黙っていた、反対意見をいう勇気がなかった、と。特攻は陸軍でも行われるようになり、20代の若者中心に5000人以上も亡くなった。

   当時、人を消耗品として考える幹部がいたのは悲しいことだ。また、周囲の空気に反する意見を言えずに黙っていたことも問題だったろう。しかし、反対意見を言えずに何となく流れに任せてしまう風潮は、今の会社社会にもまだあるのではないだろうか。単に過去の話だと済ますことができない内容を含んだ、いいドキュメンタリーだった。

      海軍の やましき沈黙 今も現存