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イチローが語った 重圧が恐怖に変わる瞬間

テレビウォッチ>クローズアップ現代はお休み。イチロー選手のインタビューものが代わりに放送された。9年連続200本安打という大リーグ新記録を作ったイチロー選手に、日本とアメリカの野球少年たちが聞いた。質問も答えもストレートだ。

   ――バッターボックスでどうやってリラックスするの?

   ――試合前に何を食べるの?

   ――毎日素振りは何回?

   ――3割打つには何が必要?

   ――どうしたらそんなにヒットを打てるようになりますか?

「小さなことの積み重ね」

   「子どもはまっすぐ投げ込んできますね。ど真ん中へ。そういう素朴な気持ちをもってれば、打てるようになる。厄介な選手になるだろう」

   イチローの成績は、絶え間ない研究・努力と体調管理の賜物だ。「大切なのは、小さなことの積み重ね」という。

   「シーズン中、なにひとつ欠けてはいけない。そこを大事にできない人は、成績にばらつきが出てくる。いかに細かいことを大事にできるか」「ただ成績を残すだけでは、なんかつまんない。人が絶対にヒットにできない球をヒットにしたとき、ボクしか見せられない技術を見せられたときは、気持ちがいい」「バントヒット、内野安打は、実は相手が1番嫌がること。相手にダメージを与えるもの。そういう精神的なものが大きいかな、ぼくにとって」

   ――打席でなぜいつも同じポーズをするのですか?

   「ビッチャーとの勝負に集中するために、余計なことを忘れるために頭の中をリセットする。そのための行為」

   同じ動作は集中力を高めるという。打席に入るまで、ゴルフのような独特の素振り、おなじみのポーズ、どれも日本にいたときから変わらない。もうひとつ、バットも変わらない。プロ2年目から16年間。

   「うまくいかないとき、道具のせいにしたくなる。こいつと一生やっていくと感じたら、ボクは道具に合わせていく。これができないと、結果が出ない」

   ――どうしたら、チャンスのときにヒットが打てるんですか?

   「ハハ、打てねぇよ」「打てるときも打てないときもある。その悔しさと喜びを何度も経験して、自分なりの形を作っていくこと」

「血の気がひき脈が速くなる」

   苦しい思いは何度もしている。毎年200本に近づいたときがそうだと。

   「重圧には弱い。まず血の気がひいていく、脈が速くなる。しまいには吐き気をもよおすという順番なんです」

   3月のWBCでは、チャンスに凡退を繰り返していた。が、決勝戦の延長10回、2アウト1、3塁で、決勝打を打った。

   「全国民の思いが詰まってる。こんな重いもの、恐怖を過去に味わったことはなかった」。これが、今シーズン大記録に挑んだイチローに大きな力を与えた。

   「いつも思い出してます。きびしい打席では、あの瞬間が何度も頭に出てくる。でも、あれ以上の状況はなかった。プレッシャーが恐怖に変わる瞬間というのがあるが、あれを打ち破ったのは、自分にとっても大きな財産です」

   ――野球をやめたくなったことがありますか?

   「やめたくなったことはない。ただ、ここでやめたら楽になるなと思ったことはある。数字、記録に追われているから、このシーズンもひょっとしたらそうかもしれない」

   ――200本達成できた理由は何ですか?

   「200本は試合に出てないと無理。(胃潰瘍などで)16試合の欠場だったが、これが限界ライン。けがを絶対にできない。体調管理も絶対。かといって成績を出せないと試合にも出られない」「野球が好きというのが、原点にあるんじゃないですか。これが何よりも大事」

ヤンヤン

* NHKおしえて イチロー選手!「大記録はなぜ生まれたか」(2009年10月12日放送)