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民主幹事長と滝クリ対談 斜め45度から斬る「小沢一郎」(上)

   昨日(1月27日)、北海道で出されている月刊誌編集長から、小沢一郎問題について取材された。

   私は、いま囁かれている疑惑については、報道を通じて知るぐらいだから、多くを語ることはできない。だが、小沢氏が最年少自民党幹事長になった1989年当時から、彼に関心を持ち、以来20年近く、ライターの松田賢弥氏とウオッチしてきたから、小沢という政治家の人となりについて話をした。

税金と不動産

   私が週刊誌誌上で、7年にわたって続けた小沢批判の主眼は、彼が93年に講談社から出版した「日本改造計画」にある、日本を戦争のできる「普通の国」にするという考え方についてだった。

   小沢氏が、今夏の参議院選挙に大勝して民主党の一党独裁政権を実現したら、その先に見据えているのは憲法改正ではないかと、私は考える。

   松田氏が、岩手県の小沢によるゼネコン支配の実態を丹念に取材し、昨2009年7月に出版した「小沢一郎虚飾の支配者」(講談社)は、報道関係者はもちろんのこと、小沢疑惑を調べている検察関係者たちにとっても必読書になっていると聞く。

   この中で、野中広務・元自民党幹事長がこういっている。「小沢のような政治家は見たことがない。土地やマンションなどの巨額な資産をつくるのに使ったカネは、政治資金やろ。その政治資金には国民の税金(政党交付金として)が入っている。あいつは自分名義の資産形成のために税金を使った」。この言葉に、政治家小沢のすべてが凝縮していると思う。

   「政治は数、数は力、力はカネだ」という田中角栄譲りの政治手法で、小沢氏は頂点を極めたかに見える。だが、検察は、数十億の不正蓄財を暴き、脱税で逮捕した金丸信・元副総理の線を狙って、最悪でも、議員辞職へ追い込もうとしているのではないのか。

   幻冬舎から出ている「ギョーテ」ではない「GOETHE(ゲーテ)」に、小沢一郎と滝川クリステルの対談が載っている。早速買ってみたが、『すこぶる』おもしろくない。今どき、小沢の教育論を聞いて、肯く読者がどれだけいるのか。

検察の「劣勢」説と「逆転」説

   週刊誌も挙って小沢問題を大特集している。朝日とポストが検察に対して批判的なのに対し、現代は「特捜部は追い詰めた『小沢はつかまる』」と断言。毎日は「脱法という行為を繰り返し、ためらうことなく社会のモラルや常識を飛び越える――。特捜部の真の狙いは、『革命』を唱える豪腕政治家の『本性』を天下に暴露し、政治的に失脚させることだったのかもしれない」と、検察の技ありと読む。

   AERAは検察OB2人に「政治資金規正法に故意に違反していることは重罪」といわせているが、編集部としてはどっちにもつかないという姿勢。新潮は「小沢一郎幹事長が嘘をついている」と、タイトルはきついが、中では「検察劣勢」と読む。だが、「特捜部は、政治資金規正法違反で小沢氏を在宅起訴すると同時に自宅の家宅捜索を行い、これまでに得た証拠と照らし合わせた上で脱税での立件に繋げる、とのシナリオを描いているようです」(地検担当記者)と、逆転もあると見る。

   文春は、小沢を追及する東京地検特捜部の聴取前ミーティングのメンバーに、これまで脱税を担当してゼネコンを震え上がらせてきた財政経済班の山上秀明副部長が加わったことで、やはり「所得税法違反」を視野に入れていると書く。小沢氏の公設第一秘書大久保隆規容疑者を逮捕し、陸山会事務所を捜索したところ、途方もないカネが出てきたことから、密かに脱税での捜査を進めてきたと、地検関係者に語らせている。

   陸山会の保有する約10件の不動産が、本当は小沢氏の個人資産ではないかと、07年2月に記者会見で追及され、小沢氏は、陸山会と取り交わした「確認書」を報道陣に公開した。だがそれが、押収したパソコンから、記者会見直前に作成された偽装文書だったことが露見したことで、特捜部は不正蓄財で立証できるとし、「国会に逮捕許諾請求をして、民主党議員でも認めざるを得ない証拠は、刻々と揃いつつある」(前出の地検関係者)。

   同じ特集の中で、いまの時点での参議院選予測を宮川隆義・政治広報センター社長にしてもらっている。それによると、民主党は61議席で、非改選と合わせて123議席と、単独過半数にかろうじて1議席上回るとしているが、普天間基地移設問題も絡み、民主党政権も波乱含みである。<へ続く>