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上村愛子4位と3位の壁 0.75点差の意味解説

<テレビウォッチ>モーグルの上村愛子(30)がまたもメダルに届かなかった。バンクーバー・オリンピックの幕開けの一戦。初陣の長野(1998年)で7位。以後ソルトレーク、トリノと6位、5位と1段づつ。そして今回は4位。

夫は「大満足」

   最後の走者、米のハンナ・カーニーがスタートしたとき、上村は3位にいた。しかし、カーニーの滑りは安定していて、なによりも速かった。2つ目のエアで、アナウンサーが「21秒です」と叫んだ(上村は23秒)。カーニーがトップに出た。

   その瞬間、上村は笑顔でストックでスキーをたたいて祝福を贈っていた。これが勝負の世界とはいえ、寂しさは隠せない。カメラの前で涙を見せ、「ちょっと悔しい。しょうがない、涙は出ますけど」。カーニーと抱き合ってピストを去る姿が、痛々しかった。

   現地の高畑百合子が、「リフトに乗る時から涙がでていたと言ってました。この舞台に立てる幸せを思って」という。スタジオには、フィギュアで出場を逃した村主章枝がいた。「本当のところは、帰ってから聞かないと……」

   母(58)は観客の中にいた。「よく頑張ったといってあげたい」。白馬村では大勢の村民がテレビの前で見守った。上村の涙に、「もらい泣きしそう」という女性。夫のアルペン回転の皆川賢太郎(32)は新潟・湯沢にいた。「背負っていたものをしっかりと表現してゴールした。ボクは大満足」

   しかし、「朝ズバッ」とみのもんたは収まらない。3位と4位の差はどれだけかと突っ込んだ。得点にして、「0.75」。その意味を、アルベールビル五輪モーグル代表の山崎修が解説した。

減速せず飛んだ選手たち

   モーグルの採点は、ターンが15点、エアが7.5点、タイム7.5点。結果をメダリストと較べてみると、カーニーはすべてでトップだが、上村はターンで5位、エアで2位、タイムで4位になっていた。

   山崎は、まずタイムで3人より1秒以上遅れているのが「大きい」と。滑り方の違いで、エアを成功させるために調整してしまったのだともいった。「上村が遅かったというより、3選手が速かった。3人は減速しないで飛んだ」

   速ければコントロールが難しくなる。その兼ね合いが競技の見どころ。上村の前に滑った米のシャノン・バーキー(銅メダル)が速かったため、以後の選手に影響した、と山崎はいう。長野で早く滑った里谷多英が好成績だったために、後続の選手に転倒が続出した例をあげた。

   結局上村がバーキーを上回れなかったのが、すべてというわけだ。上村のあとの4人は、プレッシャーの中で2人が転倒、2人が金、銀をとった。「上村は自分の滑りを出したが、メダルをとった選手は本能で滑った」と。なるほど。

   で、みのは、「次はソチですか?」なんて無神経なことをいう。

   今回が初陣で8位に入った村田愛里咲(19)は、12年前の上村を思わせる新星だ。転倒した里谷多英(33)には言及なし。