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就活生・自己啓発好きに警鐘 文春の注目記事とは

   日本人選手の不振で盛り上がりに欠けるバンクーバー・オリンピックだが、もっと盛り上がりに欠けているのは永田町である。

   案の定、鳩山由紀夫首相と小沢一郎幹事長の政治とカネの問題が尾を引き、町田市長選と長崎県知事選で、民主党候補が惨敗したが、それでもまだ、この2人を表立って批判する声が、民主党の中からほとんど上がってこないのは異様としかいいようがない。

どうなる村木局長公判

   しかし、流れが変わりつつある。毎日の「参院選当落完全予測」で、川上和久明治学院大副学長と選挙プランナーの三浦博史氏が、民主党は57議席、自民党43議席で、民主党は単独過半数に届かないと読む。

   参院選でのダークホースは「みんなの党」で5議席獲得。舛添要一前厚労相が合流すれば、かつての日本新党のようにブレイクするかもしれないとしている。

   このままいけば、小沢幹事長辞任だけではなく、鳩山首相辞任までありうるが、私は、それでも潮目を変えることは難しいと読んでいる。

   小沢vs.検察の「仁義なき戦い」は小休止しているが、検察にとって頭の痛いのは、郵便不正に絡んで逮捕した厚生労働省村木厚子局長の公判だ。

   障害者向けの郵便割引制度が悪用された郵便不正事件で、虚偽有印公文書作成などの罪に問われていた村木局長だが、一貫して「冤罪」だと主張してきた。1月27日から開かれている公判では、検察側の証人として出廷してきた人たちが次々に、「供述調書はウソ」だと証言を覆し、検察批判を始めていると、朝日が書いている。

   今日(2月25日)の共同通信は、当時の部下で、元同省係長上村勉被告(40)が、証人として出廷し、検察側の尋問で、「村木被告が逮捕され、容疑を否認していることは知っていたが、早く拘置所を出たいと自分のことばかり考え、供述調書に署名してしまった。今は後悔している」と述べ、「全部自分1人で実行した。調書は検察官の作文」だと証言したと報じている。

   朝日は、大阪地検特捜部の狙いは民主党の大物石井一参議院議員だったとし、「政治的な意図のもと、ロクな証拠もないまま、ウソや恫喝で、事件をでっち上げ、次々と人を逮捕する。こんな人権侵害を犯しながら、検事は誰一人、処罰されていない。これでも法治国家といえるのだろうか」と痛烈に批判している。こうなったら、鳩山、小沢さんだけではなく、検察幹部も国会に呼んで証人喚問をし、説明責任を果たしてもらおうではないか。

トヨタ叩き急先鋒の「素顔」

   トヨタ自動車も厳しい批判にさらされている。豊田章男社長が、米議会下院の監督・政府改革委員会の公聴会に呼ばれて証言したが、熱病のような、アメリカのメディアを中心とするトヨタ批判は、収まるのだろうか。

   新潮は、トヨタ叩きの急先鋒ダレル・アイサ共和党筆頭理事(56)に「車泥棒で逮捕」の前歴があると報じている。

   アイサ氏の父親はレバノン移民で、GMのトラックのセールスマンだったという。彼は予備役将校訓練過程を奨学金を得て受講し、軍隊に入隊しているが、この御仁、逮捕歴があり、それもほとんどが自動車がらみなのだ。ピッツバーグ近郊の陸軍駐屯地からダッジを、オハイオ州ではマセラッティを盗んでいるが、どちらも起訴されていない。1979年にも自動車窃盗事件を起こし、このときは逮捕されたが、裁判が途中で中止になってしまった。

   その後、アイサ氏はビジネスを始めるのだが、それが何と、自動車盗難警報装置ビジネスなのだ。それで成功し、下院選に出馬して当選、現在5期目である。今2010年の11月に中間選挙が行われるため、アイサ氏は、アメリカ人の安全を守るために闘う正義のヒーローとして自分を売ろうという魂胆があるのではないかと推測している。

   こうした思惑を秘めた狸議員たちに、一見ひ弱そうに見える豊田社長は、立ち向かえるのだろうか。

   文春に注目記事。「衝撃の新発見! 科学実験データが暴いた『自己啓発』『婚活』『就活』のタブー」がそれだ。英国の心理学者リチャード・ワイズマン氏は、タイガー・ウッズのような夫に、妻との関係を修復するためには、「ラブレターを書くこと」「目立つところに写真を置くこと」「初デートのときまで時計の針を戻すこと」だとしている。

   また、ストレス解消にカラオケを歌ったりサンドバッグを叩くことは、むしろストレスを増大させてしまう。マイアミ大学の実験では、怒りを鎮めるには、不愉快な体験から得たプラスの側面について数分考えて、書き出してみる。愉快な映画を見る。難しいクロスワードパズルに挑戦する。子犬と遊ぶなどがもってこいだという。

   就活では、「採用される決め手は、適性でも経験でもなく、応募者の『好感度』という04年度の調査結果だ。応募者が笑顔で、面接官と目を合わせて会社をほめ、面接を盛り上げると、面接官は無意識のうちに採用してしまうのだ」という。

   自己啓発を実践している人は、何もしない人より幸福度が低いというデータも、ワイズマン氏は紹介している。「カツマー」になろうとして挫折し、ウツ病になってしまう人が多くいると、精神科医の香山リカさんもいっている。長生きしたかったら、何もしないで子犬と遊ぶにかぎるか。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。


【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか