<テレビウォッチ>テレビから、食べ方やレシピを教える塩昆布のCMが流れてくる。
そういえば、焼き肉のたれも肉巻きおにぎりへのアレンジ方法を紹介したCMが放送されていた。この類のCMを見ると、スーパーでどうしてもCMの商品に手が伸びてしまう。
「あ~なるほど! そうやって使ったらいいんだ! こんな食べ方あるのね!」と、思わず作ってみたくなるのだ。
これまでのCMだと、味や栄養など商品そのものの魅力を伝えるものだったが、とくに最近は、商品を使った料理法を伝えるCMが多くなっている気がする。
そういえば、昨2009年売上が伸びたウィスキーも、作り方を説明するCMだった。あの○○を食べたい! 飲みたい! ではなく、あの○○を使って@@を作りたい! という手法のCMに代わってきているようだ。
そもそもマーケティングには、モノを売るよりコトを売る体験提案型があるらしい。テレビで美味しい食べ方をやっていたから商品を買いたい! ブログで紹介していた食べ方をやってみたい! と己の単純さを自覚しながらも、ついつい今とくに必要ない商品も買ってしまう。
この心理は、近頃のレシピブログや巣ごもり消費、さらにはセルフ消費の高まりを受けて、ますます消費者の間で顕著になっているのだろうか。
「モノ」を売るより「コト」を売れ、はテレビそのものである。
ある番組でモテコーディネートを紹介したところ、数字がググっと跳ねあがったことがある。最旬モテアイテムのよさを紹介するのではなく、アイテムを使いながら男受けがよく女友達からもあざとく思われないコーディネート術を紹介した結果、予想以上に視聴率が取れたのだ。
これは通販番組だと結果がより明らかになる。先日、尊敬するスタイリストのおばさまが深夜の通販番組で自身のブランドを発売したところ、ほぼ完売した。彼女が商品を使ったコーディネートやアレンジ方法を丁寧に説明することで、視聴者の購買意欲をくすぐったらしい。
そう、「コト」を売るのがテレビ番組なのだ。
出演者という「モノ」に、企画をのせることで「コト」に変化させて提示する。そして、こんな遊び方があるんですよ! 楽しみ方がありますよ! とテレビは伝え続けてきた。その方法論を考えるのが私たちの仕事で、毎日毎日会議でどんな遊び方が出来るのか、さまざまなルールがある中で考えているわけである。
が、しかしスタッフが一丸となって頭をひねくり回して産み出しても、勝てない番組がある。スポーツ中継だ。
各局が頭をひねくり回して、スポーツというモノをより感動的に伝えるコトを考える。昔から主流はスポーツ中継にタレントさんをのせる方法論だが、どうも今回は苦戦が強いられているようだ。これはコトの提示の仕方が悪いのか、それともモノが悪いのか。コトを騒ぎ立たせすぎた一因もあると思うのだが。
今年はもうひとつ大きなスポーツイベントが控えている。見ていただく視聴者の皆さまの視聴率というジャッジが気になるところである。
モジョっこ