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日本のメダル獲得 公共工事減と「社長の意地」の関係

<テレビウォッチ>バンクーバー・オリンピックが終わった。日本が獲ったメダルは。銀3つ、銅2つと目標の半分だった。中国、韓国のめざましい活躍に、橋本聖子団長は、「国の支えがもっとあってもいい」といった。

「こんなにカネかかるのか」

   そんななか、最後の銀を獲ったスケートのチームパシュートの3人のうち2人、田畑真紀、穂積雅子が所属する富山の会社が注目された。地質調査会社「ダイチ」。社員40人の中小企業だ。富山にはスケートリンクもないというのに、なぜ?

   レースから一夜明けて、祝福ムードいっぱいの同社を米田やすみが尋ねた。田中洋一郎社長は、「彼女たちが帰ったら、とりあえず飲みにいこうか」というが、ご本人はスケートを知らないという。

   同社は、公共事業や崖崩れなどの地質調査・工事を行う会社。父親の実・現会長が15年前、富山国体向けに選手を引き受けてと地元から頼まれてスケート部を作った。作ってみて、「こんなにもカネがかかるのか」と驚いたという。

   「富山にはスケートをする環境がまったくない」と社長。選手たちはよそで練習する、選手には給料をはらう、その費用だ。年間数千万円。しかし、当時は公共工事が多く売り上げが20億円だったので、問題はなかった。

「中小企業だからできた」

   富士急行を退部し、長期間スポンサー探しをしていたコーチと田畑選手を2004年に受け入れた。翌05年に穂穂積選手が入社。しかし、その後の不況で、昨09年は4000万円の赤字を計上。それでもスケート部はつぶさなかった。親子で給料をさげたりもした。

   「意地もあった。気持ちですね」と社長はいう。会長はいまバンクーバーだ。銀メダルを獲ったあと電話で「オレのやってきたことは間違ってなかった」と涙声でいっていたそうだ。「中小企業だからできた。大きい会社だと株主がいるから無理」だと。

   いったい選手強化にはどれくらいかかるのか。日本オリンピック委員会によると、この1年に日本政府が投じた金額は27億円。対してドイツは274億円。以下アメリカ165億円、韓国106億円だという。しかし、これですら事業仕分けの対象になるのが日本の現状だ。

   みのもんたが、「今回の派遣費が40億円。なのにパラリンピックは2億円。メダルを獲ってもパラリンピックにはお金は出ない」と話をそらす。そのくせ、「わたしが総理大臣なら、地質調査? 全部ダイチ」(笑い)なんていう。

   これに放った内野雅一のひと言がよかった。「そのドイツと、100分の2秒差でしょう。立派ですよ」