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もがく民主・自民両党 抱えるジレンマとは

   番組の前の「ニュース7」では、頭から順に「高速新料金をめぐる混乱」「舛添新党」「鳩山首相の元公設秘書判決」の3つが並んだ。いずれも、国民の政治離れを加速し、民主、自民両党の、さらなる支持率の低下につながりそうな話題である。そして今回のテーマが「『民意』をどうつかむのか―政治はどう動く」。参院選を控えて、有権者の批判に直面する両党のジレンマが報告された。

参院選とマニフェスト見直し

   まず民主党。支持率低下に歯止めのかからない党が期待を寄せる1つが「事業仕分け第2弾」。こっちは明日から始まるので「お手並み拝見」とばかり軽い扱い。もう1つが、参院選向けのマニフェスト。作成に関わる2人のキーマンが登場する。7奉行の1人、玄葉光一郎衆院議員と、執行部に身を置く細野豪志副幹事長だ。

   「財源なくして政策なし」と主張する玄葉は、子ども手当などの主要政策も柔軟に修正すべきだとし、「参院選はマニフェスト見直しのチャンス。見直さなければ昨年の政権公約に次の衆院選まで縛られる」と語る。見直しは国民との約束を違える面もあるのだが……。

   細野の見解はやや異なる。「初めから修正ありきでもないし、同じものを掲げるわけでもない。その幅の中のどこで参院選の戦いをして行くのか」と述べる。が、「民主党、こんな筈ではなかったというのが国民の声だと思う。我々が1つ1つ踏ん張って成果を出せれば、もう1度、民主党にやらせてみようかとなる。踏ん張りどころだ」と言うのも忘れない。小沢幹事長の元で汗を流す幹部らしい発言だ。

「新生」アピール

   一方、自民党側のキーマンも2人。後藤田正純衆院議員と石破茂政調会長である。それぞれ、課題の党改革と、参院選向けマニフェストに取り組む。

   後藤田が、面白いものを見せてくれた。「幻の案となってしまった」と懐から出したのは、党総裁に手渡したという執行部の人事案。与謝野馨の名が谷垣総裁の下にあるのは副総裁の意か。幹事長には石破茂、参院幹事長には舛添要一の名があてられていた。

   後藤田は「しつこく党改革を訴えることは、国民の期待もあるから引き続いてやって行く。ただ、それでまた、若手、中堅と執行部の対立だとなると、何やってんだとなる。悩ましいところだ」と漏らす。

   「野党になるとポストがない、権力もない、お金もありませんとなって、批判が強く出る」と話す石破は、マニフェストとりまとめの責任者を務める。政権与党時代を総括して新生自民党をアピールしたい考えだという。「与党のときに比べて時間もかかる。労力も何倍も要するが、選挙に向けてきちんと示す」とした。その上で「党運営あるいは政策で、ここが民主党と違うと有権者に見えないもどかしさがある」とも語る。辛さがにじむ。

   「政権交代」があったのは8か月前だが、すでに色あせて遥か遠い過去のことのように思える。番組中で民主党の1年生議員が呟いた「堂々と胸を張って政策や理念を訴えたい」という言葉が印象的だった。

アレマ

NHKクローズアップ現代(2010年4月22日放送)