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夢は口に出してしゃべってしまおう。不思議とコトは動き出す

   話さなければ始まらないとよく言われるが、近頃、自分のやりたいことを口に出して言うことの重要性を感じている。

   「なんでも言ってみるもんだ。そこから何か生まれるかもしれない」

   今回は、ちょっと夢のようなお話。

軽井沢朗読会館

   仕事で長年お世話になっている某局女性アナウンサーが、定年退職に合わせてあることを実現させた。彼女がライフワークで続けてきていた朗読活動の集大成として、軽井沢にレコーディングスタジオを備えた朗読の公演用ホールを建ててしまったのである。その名も「軽井沢朗読館」。別荘地の突き当たりの小さなホールだけれど、音響学を取り入れ、人の声を最大限に響かせるような設計になっている。広い敷地に建てられたので、野外劇場としての適応も可能だ。

   この大型連休にプレオープンという形でお披露目することとなり、彼女と親交があるミュージシャンや直木賞作家の面々が、連日ライブやトークイベントを行う。

   「朗読のためのホールを作りたい」

   数年前から彼女はよく口にしていた。しかし、勤め人の給料で、いや個人がホールを建てたいなんて無謀すぎる。この人、どこまで本気なんだろう、夢見る時期をとっくに過ぎているのに……と、ホール建設の話を聞いたときは話半分だった。

   ところが、しばらくすると、土地購入の目途がたった、設計をお願いできる方が見つかった、設計図はこれになるんだけれど――と、話はどんどん具体化していく。それも通常より格安料金でできたらしい。強引な手法を取ったわけでも、首が回らなくなるような借金をしたわけでもない。いったいなぜ、夢を形にできたのか。

   彼女がお願いが上手だったからなのだ。アナウンサーという職業も幸いし、様々なジャンルの専門家と仕事を通じて出会うことが多い。それを次へつながる力に変えていったのだ。

お願い力

   彼女と一緒にいると、「わからなければ人に聞く」「知ったかぶりをしない」「恥知らずと言われようが、興味のあることならばとことんやってみる」という印象を受ける。この3つの力が、まずは専門家たちと仕事を越えて信頼関係が結ばれる一因となった。

   次に、自分の夢を話し続けることが自己アピールとなった。そうして、専門家たちに相談をしているうちに、話は彼女の知らないところまで広がった。おかげで、多くの人たちがアイディアを絞り、夢の実現に向けて奔走した。彼女が夢を口にしてから5年ほどたっただろうか、軽井沢の別荘奥地にホールは完成してしまったのである。

   彼女の「お願い力」はいつのまにか周囲を巻きこんで、巻き込まれた方は彼女の夢に自分の夢を重ねて、一緒になって半ばお祭り気分で手伝っている。私も巻き込まれた1人として、連休中のイベントにボランティアスタッフとして参加している。

   「人たらし」

   最近気にいっている言葉。なぜか人を惹きつける人。なぜか愛されてしまう人。女たらしでも男たらしでもない、ワタシは人たらしの人間になりたい。な~んて、この日記が読まれるころ、軽井沢の森の中で風に吹かれてこんなことを思っているんだろうなぁ。

                                   

モジョっこ