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記憶力高める臭い物質 進学塾の生徒で実験 

   広がる「におい」ビジネスをフィーチュアした今回のクローズアップ現代は、少々「トレたま」風の趣きである。もちろん、「歓迎新ビジネス&新商品様」的な横断幕は掲げてないし、カネ儲け万歳! なノリは抑えられ、人工的なにおいの氾濫で「日本人がもつ繊細な〝香り文化〟」が失われているのではないか――などと、どこかのグルメ漫画みたいな問題提起で、取り繕うところはひと味もひと臭も違う。

3-カレンを嗅ぐと……

   ただ、そんな高尚なお話よりは、正直に「におい」の即物的な御利益の面に注目したい。テレビ視聴者として、魔法の薬という青い鳥を追いかけるのはやめられないからである。そもそもテレビとは、いつもわかりやすい答えを教えてくれ、青い鳥はいると思わせてくれるメディアのはずだ。しかも番組によれば、なんと受験生の頭をよくするらしいにおいがあるかもしれないというのだから、気になるではないか。

   東京のある進学塾(と、ナレーターは口を濁すが、映像からあきらかに早稲田アカデミーであると知れる)は、近畿大学と共同で、塾生から希望者を募り実験を行った(ている?)。松の木などのにおいに含まれる3-カレンという物質をかぐことで、脳の記憶力が高まるんじゃないか説を実証する狙いである。なんでも、この3-カレンを脳の記憶力低下と関係があるとされる酵素と混ぜ合わせると、酵素の働きを阻害することがわかってるんだそうな。

   「医薬品と違って、効果はまろやかだと思うんですが…」(近大教授)と、少々頼りなさ気だが、最近、というよりは長らく、記憶力の減退に悩む筆者などにとっては、本当ならば夢のような話だ。

   この際、においで効果があるのか(混ぜ合わせるのと状況が違いすぎないか)? 納豆や「脳トレ」などと同じだろう類だろう――といった無粋な疑問は置いといて、売り切れる前にさっそくスーパーで3-カレンを買い占めなくてはならない。いやしかし、ひょっとしたらまだ売ってないかもしれない。科学的な実験を繰り返して根拠と商機を失う前に、はやく頭の良くなる(と謳っているようでいて、よくよく読めばそうは言ってない)サプリやアロマとして商品化してほしいものである。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2010年5月18日放送)