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長妻厚労相「消えた高齢者の年金」医療・介護保険でチェック」

   野党時代は消えた年金問題追及の急先鋒だった長妻昭厚労相が、この日(23日)は責任者として現状を説明した。この間に、社会保険庁は日本年金機構に衣替えしたが、はたして何かが変わったのだろうか。

現行の住基ネットでは死亡届ないと支払い

   まず、いま問題になっている「消えた高齢者」の年金だ。死亡届を出さずに家族が不正に年金を受け取っていた例がいくつも明らかになっている。長妻は「年金の支払いは住基ネットと連動しているので、死亡届が出ないとそのまま払われてしまう」と説明、いま高齢者で医療・介護保険を使わない人をチェックしていると言う。

   「消えた年金記録」が大量発生した原因を長妻は、「記録はもらう側が管理せよ。役所側には払ってやってるんだというお上意識にあった」とする。

   07年2月時点で、宙に浮いた年金記録は5095万件だったが、今年6月には解決できたのが1460万件、死亡した人1572万件。未解決2063万件で、このうち解明中1075万件、手がかりが全くないのが988万件もある。

   長妻は「これまでに831万人分が回復。戻った金額1兆3000億円。また、紙台帳の照合で6億件が持ち主がわかり、3100万件の照合が終わって、340億円が戻った。これに要したコストが100億円」という。

1兆3000億円で作って2221億円で売却

   長妻は政権が4年をかけてやる。とくに手がかりのない分については、一括救済の手だても考える必要があるとも説明する。しかし、番組が取材したあるトラブル(東京羽村市)の例を見ても、「男性」なのに「女性」、「横田基地の従業員」が「ジャマ基地」、「渉外」が「障害者」になっていた。おまけに、年金機構の窓口で、「お情けで年金をくれているんですよ」とまで言われたという。何にも変わってない。

   長妻「50年前に紙台帳がおかしくなったという内部文書がある。その50年分を4年間でやるのだから、その時点でかかるコストも含めて判断する必要がある。現在毎月13万件が戻っている。努力は続けています」

   赤江珠緒キャスター「こうした事態を招いた責任と、集めたお金の使い道は?」

   長妻「年金基金で作った福祉施設が301件で、建設費が1兆3000億円。この売却が終わって、現在の不動産価値よりは高値だったが、2221億円だった。これは大臣としてお詫びしないといけない」

   コメンテーターの鳥越俊太郎「ナンバー制にすることは考えられないのか」

   長妻「いま国民のみなさんの意見を聞いているところ。社会保障の水準を管理していくことは必要だと思う。管理というより、もれていないかどうかのチェックですね」

   年金問題には標準報酬月額の改ざんもある。これはほとんどの人が気づいていない。改ざんには企業経営者と社会保険庁の暗黙の了解があった。この罪は重いはずだが、当時の責任者は素知らぬ顔でのうのうと生きている。