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中国にコメ売り込め!富裕層に「安全な日本米」人気上昇

   右を向いても左を向いても、中国の話題を聞かない日はない。一見、中国と関係なさそうなハリウッド映画を観ても、バブル期なら日本(企業)が役をもらっていたはずの場面で中国が登場する。クローズアップ現代でも、中国に取って代わられるニッポン、買い叩かれるニッポンというテーマはおなじみだ。

   もっとも最近は、金持ち中国に売って儲けよう、これはチャンスだ――と捉える日本人の取り組みが紹介されるケースが増えてきたようだ。今回の「シリーズ 変わる農業」第1回、「コメ輸出 農業は再生するか」もその系統である。

目標20万トン「減反政策から攻めの農業」へ

   国内の年間コメ消費量は800万トン。すごく多い数字に見えるが、年間比較すると消費は低迷しており、価格は下落傾向だ。国は減反政策で価格を維持してきたが、それでは農家の意気もあがらない。そこでコペルニクス的というか、コロンブスの卵的に考えて、もし外国に米が売れるなら、生産量を増やせるし、農家の所得も伸びるだろう。「攻めの農業」に転じよう! しかし誰が買うの? 番組によれば、例によって日出づるところの西の大国が有望な輸出対象である。

   人口13億人の中国のコメ消費量は驚きの1億3000万トン。さらに、ありがたいことに中国の富裕層の間では日本米の人気が高いんだそうな。それが証拠に北京市内の高級スーパーでは、目立つところに日本米コーナーが設けられ、品質がいいということで、新潟県産こしひかりが2kg2500円と中国産の4倍以上のお値段であるにも関わらず、売れ行き好調だという。

   「安全な食べ物を買うようにしている。日本の米なら安心だ」(北京の豪華マンションに住む中国女性)と、安全性の点でも評価が高い。

   ただ、現実を見ると、現在の輸出量は100トン。日本政府はこれを20万トンに増やそうと目論み、輸出用のくん蒸処理のできる施設を整備するなど、「政府として(輸出を)後押しできることはやっていきたい」(鹿野農相)と意気込んでいる。

農家も「チャンスに乗り遅れるな」

   コメ輸出に向けて意欲を燃やす農家の声も取り上げられた。「少しでもはやく市場に入って、ポジションを確立したい。チャンスがあれば積極的に出ようと思ってます」「日本のお米はおいしいというのが世界でわかってるので、僕はチャンスだと思う」など、「チャンス」という言葉が目立った。

   スタジオゲストの大泉一貫・宮城大学副学長は、世界(中国)というあらたな市場が見えてきたことで、「(モチベーションが上がり)元気な農家が増えてくるだろう」と予測している。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2011年3月8日放送「シリーズ変わる農業 コメ輸出 農業は再生するか」)